2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌による顎骨破壊に関与する新規の因子の同定と新たな治療法の基盤構築
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25861916
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中本 えりか 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (30634092)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 骨吸収 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔扁平上皮癌はその解剖学的特徴から、速やかに周囲の顎骨に浸潤し骨を破壊する。多くの症例で顎骨切除や離断を選択せざるを得ないため、術後患者のQOLを低下させる要因の一つとなっている。そこで新たな骨吸収関連因子を同定することを目的に、骨浸潤能の高い細胞株と低い細胞株を樹立し、それらの遺伝子発現を網羅的に解析し比較することによって、新たな因子を同定し臨床応用への基盤を構築したいと考えている。 口腔扁平上皮癌細胞株HSC3から限界希釈法を用いて単一細胞由来クローン化細胞株を13株作成した。各クローン化細胞株についてRANKL誘導能、破骨細胞形成能、骨吸収能を比較したところ、骨吸収能の高いHSC3-C12と骨吸収能の低いHSC3-C17を同定することができた。両クローンの遺伝子発現をマイクロアレイを用いて網羅的に解析・比較したところ、HSC3-C12で発現が上昇していてHSC3-C17で発現が低下している遺伝子で、その差が5倍以上ある遺伝子は11遺伝子存在し、IL-6、MFAP5、PDZK1IP1、FAM155A、PTGS2、CXCL2、AKAP12、DUSP1、NEK3、PLXNC1、SAMD4Aが抽出された。最も差が大きかった遺伝子はIL-6であった。IL-6は口腔癌による骨破壊に関与している重要なサイトカインである。IL-6は様々な口腔癌細胞株で発現しており、特にHSC3はIL-6を高レベルに発現していると報告されている。このことは我々のマイクロアレイ解析の妥当性を支持するものである。 また、TGF-βは癌周囲の微小環境において重要な役割を担っていることが報告されているが、口腔癌の骨破壊に関するTGF-βの役割については不明な点が多い。そこで口腔癌におけるTGF-βの役割について基礎的研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は口腔癌の骨破壊におけるTGF-βの役割についてin-vivo,in-vitro 両面にわたり研究を遂行することができた。 1.ヒト口腔扁平上皮癌においてTGF-βの発現があることをmRNA、タンパクレベルで確認した。2. in-vitro実験においてRANKL存在下での破骨細胞形成がTGF-βによって促進されることを確認した。さらにその破骨細胞形成はSB431542によって抑制された。3. in-vivo実験において、ヒト口腔癌細胞HSC3をヌードマウス頭頂骨骨膜下に移植し骨吸収量を評価した。HSC3細胞は免疫組織学的方法によってTGF-βを分泌していることが確認され、その骨吸収はSB431542によって抑制された。 よってほぼ当初の計画に沿った研究を遂行できていると考えるが、研究者の妊娠・出産によって研究の発表の機会が失われてしまい、その点に関してはやや計画に遅れを生じてしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.本研究を臨床応用に展開するため、CXCL2やTGF-βの発現の程度によって患者の顎骨破壊の様式や程度に関連性があるかどうかを解析する。2. 報告書の作成、これまでの研究成果をまとめ、適切な場で発表を行う。
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Causes of Carryover |
産休・産後の休暇を取得したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究を臨床応用に発展させるため、ヒト口腔癌症例でのCXCL2,TGF-βの発現について解析する。適切な場で研究成果について発表し、研究報告をまとめる。
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Research Products
(1 results)