2013 Fiscal Year Annual Research Report
乳歯歯髄由来幹細胞の培養上清を応用した新規インプラントの開発
Project/Area Number |
25861927
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原 憲史 名古屋大学, 医学部附属病院, 医員 (20635560)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔外科学 / 再生医学 / 歯科インプラント学 |
Research Abstract |
本研究では、乳歯歯髄由来幹細胞の培養上清(Conditioned medium: CM)を応用した新規歯科用インプラント開発を目的に、平成25年度においてはCMの調整の最適化ならびに歯科用インプラントに用いられるチタン(Ti)表面へのCMに含有される可溶性成分の付着の解析を目的とした。方法としては、すでに当施設にて保存される乳歯歯髄幹細胞を培養し、その無血清培地よりCMを得て解析した。CM中の可溶性成分のTi表面への付着を確認するために、その成分にQdot標識を施し共焦点顕微鏡にて観察した。またTi表面へのCM成分の付着を確認するために、粉末状のTiを用いたクロマトグラフィーならびにマススペクトロメトリーをした。結果として、共焦点顕微鏡にてTi表面へのCM成分の付着が確認された。さらにタンパク質解析にて、Ti表面に付着したCMに含有されるタンパク質にはfibronectin、decorin、collagen type IVなどの細胞外マトリックスやinsulin-like growth factor-binding protein、bone morphogenetic protein receptor type-2などが含有されることが明らかとなった。これらの実績としては、乳歯歯髄幹細胞のCM中の可溶性成分にはTiに結合するタンパク質が含まれ、それらのタンパク質には細胞外マトリックスや成長因子の関連因子が含まれることが明らかとなった。これらの結果より、Ti表面にCM中の可溶性成分を付着させることで、歯槽骨にインプラントが埋入された際に、微小環境における周囲細胞のTi表面への接着を促進し、また細胞増殖や分化などにも影響を与える可能性があることが示唆された。さらにこれらの効果は早期のオッセオインテグレーションを可能にする新規インプラントの開発に貢献するものと考えられた。
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