2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔扁平上皮癌の高度悪性化に関与するサイトカイン誘導性EMTの解析
Project/Area Number |
25861941
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
奥井 岳 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (00646888)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 上皮間葉移行 |
Research Abstract |
上皮間葉移行(Epithelial Mesenchymal Transition:EMT)は上皮形質を示す細胞が間葉形質を示す細胞に変化する現象であり,近年,癌の進展においても極めて重要な機構であることが理解されつつある.本研究の目的は口腔扁平上皮癌の高度悪性化に関与するEMTの誘導開始機構を明らかにすることで,口腔癌の浸潤を制御することにある. これまでに口腔扁平上皮癌細胞株OM-1にレトロウイルスベクターを用いてSnail過剰発現させた細胞プールを樹立した.この細胞プールではサイトカイン処理や細胞密度によってEMT細胞率が変動する.また,PI3K特異的阻害剤処理を行うとEMT細胞率が著しく減少することから,PI3Kシグナル経路,特に細胞遊走に関わるAKTのEMT誘導への直接的な関与が疑われた.これを実証するため,新たに恒常活性型AKT、ドミナントネガティブ型AKT発現ウイルスベクターを作成し,Snail過剰発現プールに遺伝子導入したところ,ドミナントネガティブ型AKT強制発現によりサイトカイン処理によるEMT誘導率が著明に減少した.この解析からAKTのEMTへの直接的な関与が明らかにできた. 一方,OM-1にTGFβ処理時,Snail,Slugの発現上昇を認めた.さらにTGFβ,TNFα,PDGF-D同時処理によりEMTが誘導されたが,サイトカイン処理と同時にsiRNAを用いてSlugをノックダウンしたところ,EMT細胞率は減少した.しかしSlugがどのようにEMT誘導に関わっているのか未だ不明であるため,Slug過剰発現ベクターを作成しOM-1細胞に遺伝子導入しSlug過剰発現細胞を樹立した.この細胞を用いてマイクロアレイ法によりSlugの発現上昇に伴い発現変化する遺伝子群を明らかにした.現在この遺伝子群からEMT誘導に関与すると考えられる遺伝子の検索中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度中に達成すべき特定の遺伝子を過剰発現させた細胞株の樹立は完遂できており、解析についても計画とほぼ同程度に進展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に当該研究に必要となる材料製作はほぼ完了しており、解析についても進行中である。今後、解析をさらに進めていく。
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Research Products
(1 results)