2013 Fiscal Year Research-status Report
多孔質セラミックスにおける骨形成メカニズムの解明と臨床応用への基礎的研究
Project/Area Number |
25861944
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
多田 美里 (平岡 美里) 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (40572326)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 多孔質セラミックス / ハイドロキシアパタイト / ヒト骨芽細胞 / 骨分化マーカー |
Research Abstract |
自家骨移植に代わる骨再建・再生法として,これまで我々は多孔質セラミックス(IP-CHA)と骨芽細胞のハイブリッド人工骨が有用であること,また培養人工骨における成長因子TGF-β1の骨形成促進作用を報告してきた。本研究においては,IP-CHAにおけるヒト骨芽細胞の増殖・分化・基質合成メカニズムを遺伝子レベルで解明し,またシグナル伝達系の解析によりIP-CHAにおけるヒト骨芽細胞による骨形成過程での細胞動態の詳細を明らかにするとともに,各種成長因子の骨代謝における作用を検討することで,培養人工骨/成長因子複合体による骨形成分子機構を明らかにし,臨床応用における基礎的な裏付けを行い,より理想的な骨再建材料および骨再生誘導法の開発を目的とした。 本年度は,IP-CHAにおけるヒト骨芽細胞の骨形成メカニズムの解析を行うため,IP-CHAにヒト顎骨骨芽細胞を播種し,石灰化誘導培地で培養後,骨芽細胞からmRNAを抽出し,real-time PCR法,ELIZA法にて検討を行った。多孔質セラミックス(IP-CHA)におけるヒト顎骨骨芽細胞の骨形成・分化マーカー(ALP,Type I collagen,OCN,OPN)の遺伝子発現に対する相乗効果,あるいは抑制効果を経時的に検討したところ,細胞内分子と細胞内シグナル伝達系が,ALP,Type I collagen,OCN,OPN mRNAの発現に特異的な作用をきたして骨芽細胞の増殖,分化を促進し,その細胞動態を制御している可能性が示唆された。 引き続き,多孔質セラミックス/骨芽細胞複合体の臨床応用に基礎的な裏付けを行うことで,より理想的な骨再建材料の開発と臨床応用を検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,TGF-β1により活性化されるSmad2,3やBMPで活性化されるSmad5,8のリン酸化の調節について Western blot法で検討することで,成長因子によるヒト骨芽細胞内シグナル伝達経路制御の検討を行い,マイクロアレイによる網羅的遺伝子発現解析により多孔体セラミックス(IP-CHA)上で培養したヒト骨芽細胞の増殖,分化において特異的に発現している遺伝子の検索を行う予定であったが達成できず,当初の予定より遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,成長因子によるヒト骨芽細胞内シグナル伝達経路制御の検討をさらに進め,また多孔体セラミックス(IP-CHA)上で培養したヒト骨芽細胞の増殖,分化において特異的に発現している遺伝子の検索を行うと同時に,動物骨欠損モデルを作製し,IP-CHA/骨芽細胞複合体に種々のサイトカインを応用したものを埋入し,特異的遺伝子発現の解析,また蛋白の発現および局在を同定し,培養骨芽細胞のみならず既存骨内の細胞の骨形成促進制御分子やその受容体の遺伝子発現変化と骨形成への関与について検討する。さらに,形成された骨組織の機械的強度,周囲組織に対する親和性,また骨形成速度について組織学的,X線学的評価を行う予定である。現時点で研究目的の達成度に遅れを生じているが,申請者が所属する研究室の武知正晃准教授を中心とする顎骨再生研究グループは,「顎骨組織再建のための生体材料」の研究分野において国内外でリードしており(骨補填材・人工骨の変遷:日本顎顔面インプラント学会誌2012年),本研究の遂行にあたりサポートが期待できる。
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Research Products
(1 results)