2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜のウイルス認識機構の解明と口腔粘膜炎症性疾患における意義
Project/Area Number |
25861946
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
福井 暁子 広島大学, 大学病院, 歯科診療医 (50647550)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 抗ウイルス作用 / I型IFN / 炎症性ケモカイン / RIG-I / 口腔粘膜細胞 |
Research Abstract |
細菌やウイルス等の微生物感染に対する宿主の自然免疫防御機構としてToll-like receptor (TLR)やTLR非依存性にウイルスを認識する細胞内レセプター:Retinoic acid inducible gene-I (RIG-I)が存在する。RIG-I はウイルスRNA を認識し抗ウイルス作用を持つI型IFNを分泌することが報告されており、申請者らは、口腔粘膜上皮細胞と歯肉線維芽細胞でRIG-Iの発現を確認した。また、ウイルス由来のdsRNAを細胞内導入するRIG-I特異的リガンド(poly:IC/Lyovec)処理を口腔粘膜上皮細胞と歯肉線維芽細胞に行った結果、両細胞で抗ウイルス機能を持つIFN-βやT細胞遊走因子であるCXCL10の発現上昇を認め、口腔粘膜細胞における、RIG-Iの発現・機能が示唆された。さらにRIG-Iにより誘導されるI型IFNや炎症性ケモカインの詳細なシグナル伝達経路検討のため、各種シグナル伝達阻害剤を用いて予備実験を行った所、上皮、線維芽細胞ともにJAK2阻害剤でRIG-I ligandで誘導されるCXCL10の発現誘導抑制され、また線維芽細胞ではNF-KB阻害剤で抑制される等細胞による発現誘導経路の違いがあることが示された。また、これらの結果からRIG-I ligand により誘導される細胞内伝達経路検索のため,特異的ligand 処理後の蛋白を抽出し、レセプター認識後の細胞内伝達経路を各種リン酸化抗体(STAT1, ERK,c-JUN,IRF3)を用いてWestern blotting 法によって検索したところ、STAT1, IRF3で経時的なリン酸化蛋白の発現が認められ、RIG-Iの抗炎症反応にはSTAT1, IRF3の関与が明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
口腔粘膜細胞(口腔粘膜上皮細胞、歯肉線維芽細胞)でのRIG-Iの発現やRIG-Iの抗炎症作用や反応経路などの機能の一部について確認することができ、研究計画通りにおおむね研究が進行しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
近年RIG-Iを介して誘導される遺伝子発現が他のウイルス認識レセプターによって互いに干渉されることや、TLR3 の活性がRIG-I の発現を増加させることが報告されているため、口腔粘膜細胞においてもTLR3 によるRIG-Iの細胞内伝達経路の干渉を検討する。 ウイルス認識レセプターを負に制御する内在性因子についても近年報告があり、RIG-Iに関しても負の制御遺伝子の存在が明らかとなっているため、口腔粘膜細胞での存在を確認し、ウイルス認識時の遺伝子発現の変化について検討を行う。 現在までに頬粘膜擦過サンプルからRIG-I の発現が検出されることを確認しているが、扁平苔癬、白板症など口腔粘膜疾患患者の頬粘膜擦過サンプル、試切サンプルからからウイルス認識レセプターmRNAの発現を検出し、健常人との比較を行う。
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