2014 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌に対するWarburg効果阻害に着目した新規治療法の開発
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25861948
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
原田 豊子 山口大学, 医学部, 特別医学研究員 (20647937)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メトホルミン / 5-FU / 併用療法 / Warburg効果 / 口腔癌 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔癌細胞に対してジクロロ酢酸ナトリウム(DCA)、α-リポ酸、メトホルミンの何れかを前処理し、シークエンシャルに5-FU、CDDP、DOCの何れかを後処理した際には、細胞増殖抑制効果が低下した。このため DCA、α-リポ酸、メトホルミンの何れかと5-FU、CDDP、DOCの何れかを、それぞれ単独あるいは同時併用処理して、細胞増殖抑制効果を検討したところ、メトホルミンと5-FUの同時併用処理がそれぞれ単独あるいは未処理対照と比較して、口腔癌細胞に対して細胞増殖抑制効果を示した。その他の組み合わせでは、明らかな併用効果を認めなかった。そこでELISAによるLactate assay を行ったところ、未処理対照や、メトホルミンと5-FUそれぞれ単独処理と比較して、 メトホルミンと5-FU 同時併用処理により、乳酸の産生が有意に抑制されたことより、メトホルミンと5-FUの同時併用処理によってWarburg効果が阻害されたことが示唆された。次にヌードマウス背部皮下HSC2腫瘍に対して、メトホルミン(200mg/kg/day 5times/week)と5-FU(10mg/kg/day 5times/week)それぞれ単独あるいは同時併用で治療を行ったところ、メトホルミンと5-FUの同時併用療法により有意な抗腫瘍効果が得られた。それぞれの抗腫瘍効果は、コントロール群と比較して、メトホルミン単独では約52%縮小、5-FU単独では約59.4%縮小であったのに対して、メトホルミンと5-FUの同時併用療法では約77.6%縮小と顕著なものであった。すなわち、口腔癌に対するメトホルミン+5-FU療法の有用性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に口腔癌細胞に対してジクロロ酢酸ナトリウム(DCA)、α-リポ酸、メトホルミンの何れかを前処理し、シークエンシャルに5-FU、CDDP、DOCの何れかを後処理した際には、細胞増殖抑制効果が低下することを見出し、今年度はメトホルミンと5-FUの同時併用処理がそれぞれ単独あるいは未処理対照と比較して、口腔癌細胞に対して細胞増殖抑制効果を示すことを見出し、さらにin vivoにおいて口腔癌に対するメトホルミン+5-FU療法の有用性を明らかに出来た。また、この際にWarburg 効果を阻害出来ている事も確認出来ている。順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、口腔癌に対するメトホルミン+5-FU療法が、アポトーシスを増強しているのか否か、もしアポトーシスを増強しているのなら、アポトーシスを増強させるメカニズムについて、乳酸の産生への関与だけでなく、Warburg効果阻害につながる諸因子について検索を行う予定である。また近年注目されているWarburg効果を誘導するピルビン酸キナーゼのスプライシングアイソフォームの切り替わりへの影響についても検索したいと考えている。さらに、癌幹細胞と非癌幹細胞を比較しながら、Warburg効果阻害につながるメトホルミン+5-FU療法の有用性を検討したいと考えている。
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Research Products
(2 results)