2015 Fiscal Year Research-status Report
口腔がんにおける硼素中性子捕捉療法後の細胞死メカニズムの解明
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25861967
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
山川 延宏 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (00526709)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | BNCT / アポトーシス / p53 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では硼素中性子捕捉療法(BNCT) による生と死の制御機構を明らかにすることを目的とし、p53 の異常ながん細胞をもつ多くの患者さんの治療効果の向上を目指している。 BNCTは、X 線などの低LET 放射線に比べて殺細胞効果が高く、がん細胞の遺伝子型に関係なく高い治療効果が得られると期待されている高LET 放射線治療である。そこで、BNCT施行時の細胞死のメカニズムを、低LETとの比較を加えて解明する。 平成26年度に引き続き、京都大学原子炉で原子炉を使用したBNCT研究の申請を行い、研究内容が認められ平成27年度も採用された。しかし、原子炉が東日本大震災以降、平成27年度も稼働できなかったため原子炉を使用した実験は行えていない。そのため、低LET放射線を使用した実験を行っている。 平成27年度は、昨年までと同様の変異型p53ヒト歯肉扁平上皮癌細胞のCa9-22を使用し、平成25年度と26年度に行った実験の確認実験を行った。また、平成27年度はアポトーシス以外の細胞死のメカニズム(オートファジイ)の解明を、LC3タンパク質の変動などの確認を中心に行う予定であったが、アポトーシス経路による細胞死メカニズムの解明をさらに行うため、アポトーシス経路にかかわる経路の研究を進めた。 アポトーシス経路でのCaspase3の活性は昨年度確認していたが、PARPについても活性が上がっていることを確認した。Caspase3については、放射線線量を2Gyから10%生存線量の7Gyまで上昇させると活性が高くなっていることを、フローサイトメトリーを用いて確認にした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東日本大震災の影響により、原子炉が平成27年度も引き続き稼働していなかったため、BNCTを使用した基礎実験が行えなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
変異型p53ヒト歯肉扁平上皮癌細胞のCa9-22を使用し、昨年まで行えていないBNCTによる放射線感受性の確認を行う。10%生存率相当のBNCTを行いアポトーシスの出現頻度を確認し、Caspase3,8,9の活性を確認し、BNCTによる細胞死のメカニズムをアポトーシス経路を中心に確認する。また、生存シグナル経路についても確認を行う。
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Causes of Carryover |
東日本大震災以降、京都大学原子炉実験所の原子炉が稼働していなかったために原子炉を使用した基礎実験が行えなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度中に原子炉が稼働予定であるため、マシンタイムが獲得できればBNCTを使用した、一連の実験(放射線感受性の確認、アポトーシス出現頻度・アポトーシス関連タンパク質、生存シグナル経路の解明)を行うよう予定である。
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