2013 Fiscal Year Research-status Report
タモギタケ抽出成分による口腔上皮細胞の遺伝子発現変化のニュートリゲノミクス的解析
Project/Area Number |
25861971
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
佐藤 惇 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (30624267)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ニュートリゲノミクス / 歯肉上皮細胞 |
Research Abstract |
本研究では、タモギタケの精製成分の、口腔上皮細胞における影響、及びその作用機序を、ニュートリゲノミクス解析により明らかにし、食物摂取時における機能食品としてのタモギタケの口腔粘膜上皮への効果の全容を解明することを目的としている。タモギタケにはこれまで、抗腫瘍作用を持つエルゴステロールパーオキサイド、抗酸化作用を持つエルゴチオネイン、保湿効果や抗アトピー効果を持つグルコシルセラミド、血圧調節物であるアンギオテンシン変換酵素阻害物質など含まれることが報告されており、研究代表者もこれまでタモギタケより抽出した成分が、抗カンジダ菌効果、および上皮が産生する抗菌ペプチドの一種であるヒトβ-ディフェンシン産生増強効果のあることを発見し、これを配合した口腔保湿ジェル・スプレーを開発した。タモギタケには上記以外にも様々な成分が含まれているが、中でもエルゴチオネインはキノコ類の中でも特に多く含まれているものでることが知られている。 研究代表者は、タモギタケ由来のエルゴチオンネインがヒト歯肉上皮細胞の遺伝子発現に及ぼす影響についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的な解析を行い、Igenuity Pathway Analysis解析を行ったところ、エルゴチオネインが血液凝固および創傷治癒に関連する遺伝子グループの発現を上昇させることが示唆された。この結果から、食品由来の成分であるエルゴチオネインが、歯周病等の歯科疾患における口腔上皮細胞の治癒過程に関与する可能性が考えられた。そこでまずこれらの遺伝子グループのうち、主要な遺伝子でありかつ発現変化が著明であった、フィブリノゲン遺伝子および血液凝固第13遺伝子のすべてのサブタイプについて、プライマーを設計し、定量的RT-PCRにて発現変化を検討したところ、マイクロアレイと同様にF13BおよびFGA、FGGの遺伝子の発現上昇がみられることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
まずはじめの生成成分であるエルゴチオネインの作用の、リアルタイムPCR法における検討において、遺伝子グループ中の複数ある遺伝子のうちのターゲットとする遺伝子の決定や、決定後のプライマーの設計および有用なプライマーの確立について遅れが生じたため、エルゴチオネイン以外の生成成分の作用の検討について遅れが生じている。 また口腔上皮細胞において、より多くの条件の細胞を用いて検討するための臨床検体からの口腔上皮の採取・培養方法の確立に時間がかかっているため、当初の予定より遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
口腔上皮細胞において、当初の予定通りCELLNTEC社等、販売品を購入・培養することとし口腔上皮細胞の調達を簡便にする。 またリアルタイムPCRにおけるプライマー設計は、設計方法や設計ソフトを再検討し、信頼性のあるプライマーをスムーズに決定できるようにする予定である。 今後、実験の進捗度に応じて、検討対象のタモギタケ由来成分を見直すか絞り込むこととして、少ない検討対象においてより詳細な検討を行っていく計画に変更する可能性も考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験の遅れのため、マイクロアレイによる解析まで行えていないため、この解析に関連する費用が次年度に繰り越しとなった 培養細胞の調達と検討対象のタモギタケ抽出物の選定を早急に行い、次年度の早い段階でマイクロアレイ解析およびPathway解析を行う予定である
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