2014 Fiscal Year Research-status Report
発達期脳神経における全身麻酔薬による細胞死誘導の機序解明
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25861974
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
西村 晶子 昭和大学, 歯学部, 助教 (00551227)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アポトーシス / 全身麻酔薬 / 脳神経細胞死 / SCAT3 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳神経発達期にあたる胎児期ー小児期の全身麻酔薬投与が成長発育に与える影響について検証するため、カスパーゼ3活性によって蛍光強度が変化する蛍光タンパクを細胞内に発現するSCAT3遺伝子プローブを導入したマウスを用いて観察を行った。昨年度はSCAT3遺伝子プローブの検証と、遺伝子導入したマウスの継代維持を成功させた。 本年度は遺伝子導入マウスから脳スライス標本を作製し、蛍光顕微鏡下で観察を行った。生後0-4日齢の幼若マウスから大脳を摘出し、厚さ350-400μmの脳スライス標本を作製した。顕微鏡下にチャンバーを設置し、人工脳脊髄液を環流して7時間以上の観察が可能であることを確認した。またSCAT3遺伝子プローブを検証する際に使用したTNFαとサイクロヘキシミドを環流投与し、脳スライス標本上で薬剤によるカスパーゼ3活性が誘導され蛍光顕微鏡下で観察できることを確認した。 本研究では全身麻酔薬として環流投与が容易なプロポフォールを用いた。プロポフォール製剤の麻酔要素である2.6-ジイソプロピルフェノールを有機溶媒であるDMSOで溶解して、臨床使用時の脳内濃度である1μMで環流投与し5-6時間継時的に観察した。 海馬CA1領域において蛍光強度が変化したピクセル数の変化を解析した。人口脳脊髄液を環流投与したコントロール群と比較しプロポフォール群では投与後2-3時間は変化量に差がない傾向が認められたが、4時間以降ではカスパーゼ3活性を示す細胞が増加する傾向であった。また酵素活性を利用した測定系であることから測定時の温度管理が重要である可能性が示唆されたため、今後の検討課題となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度以降実施として計画された蛍光顕微鏡観察が実施できているため、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時の計画ではin Vivo実験系への移行を予定していたが、脳スライス標本を用いた検討に今後も十分な時間をかける必要があると判断されたため、今後は全身麻酔薬の投与濃度および測定時の温度を変化させ、海馬領域におけるアポトーシス変化と全身麻酔薬投与の関係について脳スライス標本上の継時的変化として検証する。
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Causes of Carryover |
本年度に計画していた学会発表で費用が発生しなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は研究成果の論文発表を計画しているため、そこで使用する予定である。
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