2013 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌頸部リンパ節転移に対するCOX-2・TAMをターゲットにした新たな治療戦略
Project/Area Number |
25861978
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
河野 通秀 東京医科大学, 医学部, 助教 (00421066)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 口腔癌 / リンパ節転移 |
Research Abstract |
本研究の目的は、口腔扁平上皮癌の頸部リンパ節転移に対する新たな治療戦略を確立するために、Cyclooxygenase-2(COX-2)および腫瘍関連マクロファージ(Tumor Associated Macrophage, TAMを介したVEGF-C・D/VEGFR-3シグナル発現経路の解析と、COX-2と腫瘍関連マクロファージを抑制することによるリンパ管新生・リンパ節転移の抑制効果について、In vitroならびにIn vivoの実験手法を用いて解析することである。本年度は、口腔癌におけるVEGF-C/VEGFR-3シグナル発現の確認と頸部リンパ節転移およびCOX-2発現との関連を検証するため、手術切除検体にVEGF-C、COX-2、D2-40の免疫組織化学染色を施行した。 リンパ節転移群、後発リンパ節転移群、コントロール群(非転移群)の3群に分類しVEGF-Cの発現率を検討したところ、リンパ節転移群と後発リンパ節転移群が統計学的有意にVEGF-Cの発現が高かった。さらに、D2-40の免疫組織化学染色を行い腫瘍周囲のリンパ管数を計測したところ、リンパ節転移群、後発リンパ節転移群で有意に高値であり、VEGF-C発現およびリンパ節転移との関連を認めた。また、口腔癌におけるCOX-2高発現は、リンパ節転移と有意に関連しVEGF-C発現と正の相関を認めた。 以上より、口腔癌におけるVEGF-C発現は、腫瘍周囲のリンパ管新生を促進することにより、リンパ節転移を促進していることが示唆された。COX-2発現に関しては、VEGF-C発現との相関を認めたことから、血管新生におけるCOX-2/VEGF-A発現経路と同様に、VEGF-C発現をup-regulateしリンパ管新生ならびにリンパ節転移に関与することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、免疫組織化学染色において口腔癌におけるVEGF-C発現とリンパ管新生およびリンパ節転移について検討した。当初の予定であった、口腔癌細胞株を用いたCOX-2/VEGF-C発現経路の解明に関しては、やや遅れているが 本年度中の解析の目処がたっており問題ない。また、腫瘍関連マクロファージとリンパ節転移との関連においては臨床検体での免疫組織化学染色が終了しており、問題ない。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、高リンパ節転移口腔扁平上皮癌細胞株と非転移口腔扁平上皮癌細胞株における、COX-2,PGE2,EP1-4, VEGF-C,VEGF-D,NF-κB,IL-1βのmRNAの発現量をリアルタイムPCRで定量する。また、タンパクレベルでの発現をWestern blotで検討する。転移細胞株と非転移細胞株それぞれのmRNA・タンパク発現量を比較検討する。この実験結果で得られた、COX-2およびVEGF-C高発現株を用いて、PGE2受容体であるEP1,EP2,EP3,EP4それぞれのantagonistにより、各経路を遮断し、VEGF-C発現量との関係を検討し、COX-2・VEGF-Cシグナルの発現経路を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は、免疫組織化学染色による検討をおこなったため、当初予定していたより支出が少なくなった。 次年度は、本年度の繰り越し分と合算し口腔癌細胞の購入や消耗品の購入資金にあてる予定である。
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