2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25861994
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
福島 久夢 北海道大学, 大学病院, 医員 (10632408)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯学 / 造血幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
唇顎口蓋裂患者に対して行われている顎裂欠損部の補填術は、顎裂を閉鎖するうえで大変重要であるが、歯列弓を正常な形態へと修正する点においても必要な治療法である。現時点では、腸骨などから自家骨移植が主に行なわれているが、将来、幹細胞を用いた骨組織再生療法が主体となることが予想されている。本研究では、どのようにして幹細胞を移植すれば、効率良く骨再生を行うことが出来るのか検討を行った。 既に確立しているマウスモデルを用いて検討を行った。すなわち、8週齢の雌マウスの頭頂部に顎裂様に人工的な欠損部を作製し、大腿骨の骨髄から単離した幹細胞を第三リン酸カルシウム顆粒と共に骨欠損部に移植を行った。 継時的に再生した新生骨の状態ついて検討を行った結果、間葉系幹細胞のみを移植した実験群では、1ヶ月後には移植した第三リン酸カルシウム顆粒の周囲にわずかに石灰化が幼若な骨様構造物が確認されたが、第三リン酸カルシウム顆粒は吸収されずに残留していた。2ヶ月後には第三リン酸カルシウム顆粒の粒径の減少が認められ、第三リン酸カルシウム顆粒の周囲に石灰化が亢進した骨様組織が新生していることが確認された。一方、間葉系幹細胞とともに造血幹細胞を移植した実験群では、すでに1ヶ月後において第三リン酸カルシウム顆粒の吸収と、第三リン酸カルシウム顆粒周囲に成熟した骨様組織が新生していることが確認された。 以上の結果から、第三リン酸カルシウム顆粒に加えて間葉系幹細胞と造血幹細胞を共に移植した場合には、第三リン酸カルシウムの吸収が促進され、続いて良好な骨再生が誘導されることが明らかにされた。そのメカニズムは不明であるが、破骨細胞による第三リン酸カルシウム顆粒の吸収機転が造血幹細胞の存在によって活性化される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に沿って順調に研究が進んでいる。さらに、研究計画書作成時と比較して新しい知見が得られており、今年度の実験を継続することでさらなる成果を上げられる可能性があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年同様、in vivoにおける移植体における新生骨作成実験を続ける。また、移植した幹細胞が骨組織以外の奇形種を生じているか否か、幹細胞移植に伴う安全性について検討を引き続いて行う。さらに、GFPマウスから幹細胞を採取、移植体において新生した骨組織がどちらの移植した幹細胞に由来しているのか、間葉系幹細胞と造血系幹細胞との相互作用について、引き続いて検討する。
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Causes of Carryover |
物品費(消耗品費)においてキャンペーン品があり、当初予定額より支出が抑えられ、経費の節約ができ、次年度使用額が生じた。また、歯学研究科の耐震補強工事が行われ、動物実験施設もその対象となり、動物飼育数を一時的に減少させた。研究計画の遅れはないが、今年度減少させた動物実験の数を次年度増加することにより、研究費を使用する予定である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経費の節約により生じた未使用額179,429円については、今年度の実験動物(マウス)、物品費(消耗品費)の購入に使用する。
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