2013 Fiscal Year Research-status Report
メカニカルストレス刺激時における歯根膜細胞から骨芽細胞への分化メカニズム
Project/Area Number |
25861998
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
解良 洋平 東北大学, 大学病院, 助教 (90647950)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 歯根膜細胞 / 骨芽細胞 |
Research Abstract |
歯科矯正治療において、これまで矯正力および筋機能力を利用して歯の移動および顎骨のコントロールが行われてきた。歯はエナメル質、象牙質、セメント質の3種類の硬組織と、結合組織である歯髄から構成されており、コラーゲン線維に富む歯根膜組織を介して歯槽骨内に結合している。歯根膜および骨組織を含む歯周組織は、咀嚼に伴う咬合力や矯正力などの外力に応答し、骨組織がリモデリングすることで維持される。このリモデリングには、歯根膜に加わるメカニカルストレスが重要な要因である。歯根膜に矯正力による伸展刺激が作用する時、圧迫される「圧迫側」と、引っ張られる側である「牽引側」が生じる。この内、牽引側において歯根膜細胞は骨芽細胞に分化することが知られているが、歯根膜細胞が骨芽細胞に分化する分子的なメカニズムについては不明な点が多い。伸展刺激を受けた歯根膜細胞が、骨芽細胞に分化する機構が解明されれば、円滑な歯の移動を可能にすることが考えられる。矯正治療において速やかな歯の移動は、経済的・身体的にも患者の生活の質を向上させる。そのため、効果的な歯の移動方法の開発は、患者および術者から切望されている。 メカニカルストレスの内、伸展刺激により歯根膜細胞は骨芽細胞に分化し、骨芽細胞は骨形成を行う。伸展刺激にはシリコン製のストレッチチャンバーを用いた実験を計画しているが、まずはこの実験系がうまく行えるかどうか検証した。株化した骨芽細胞にストレッチチャンバーを用いて伸展刺激を加え、この細胞からmRNAを回収し、伸展の指標となる遺伝子の発現をmRNAレベルで検証した。この実験系のポジティブコントロールとなる遺伝子として、COX2(シクロオキシゲナーゼ2)遺伝子の発現量をみた。すると、コントロールと比べて発現量は上昇しており、実験系は成り立つことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今後予定している実験系は、シリコンチャンバーを用いて伸展刺激を加えた細胞を用いる。このことから、細胞への伸展刺激の実験系は今回の研究の基盤となる実験であり、この系が確立したことにより、研究はやや遅れているが今後の実験の見通しが明るくなったと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
伸展刺激により骨芽細胞は骨形成を促進する。その刺激を加えたときに、骨芽細胞マーカーである転写因子Runx2やOsterixの発現量がどのように変化するか、検証する。発現が上昇しているようであれば、細胞からクロマチン分画を抽出し、それらの遺伝子上のヒストン修飾状態をクロマチン免疫沈降実験により検証する予定である。
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