2014 Fiscal Year Annual Research Report
メカニカルストレス刺激時における歯根膜細胞から骨芽細胞への分化メカニズム
Project/Area Number |
25861998
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
解良 洋平 東北大学, 大学病院, 助教 (90647950)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | メカニカルストレス / 伸展 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯科矯正治療において、これまで歯および顎骨のコントロールが行われてきた。歯は歯根膜組織を介して歯槽骨内に結合している。歯根膜および骨組織を含む歯周組織は、矯正力などのメカニカルストレスに応答し、骨組織がリモデリングすることで維持される。歯根膜に矯正力が作用する時、圧迫される圧迫側と、引っ張られる側である牽引側が生じる。この内、牽引側において歯根膜細胞は骨芽細胞に分化することが知られているが、その分子的なメカニズムについては不明な点が多い。伸展刺激を受けた歯根膜細胞が骨芽細胞に分化する機構が解明されれば、円滑な歯の移動を可能にすることが考えられる。 メカニカルストレスの内、伸展刺激により歯根膜細胞は骨芽細胞に分化し、骨芽細胞は骨形成を行う。伸展刺激にシリコン製のストレッチチャンバーを用いた実験を計画しており、初年度の25年度には、この実験系が成立するかどうかを検証した。株化したマウス骨芽細胞用細胞(MC3T3-E1細胞)に伸展刺激を加え、この細胞からmRNAを回収し、伸展の指標となるシクロオキシゲナーゼ2(COX2)遺伝子の発現を検証した。すると、コントロールと比較して伸展刺激を加えた細胞においてCOX2の発現量は上昇しており、実験系は成立することが示唆された。COX2はメチオニンアデノシル転移酵素(MATII)により抑制されていることが報告されている(Kera Y. et al. JBC. 2013)ことから、平成26年度には、MC3T3-E1細胞においてもMATIIがCOX2を抑制しているかを検証した。すると、上述の報告と同様に、MATIIを減弱させるとCOX2の発現が上昇することが定量PCRにより示された。COX2は骨形成に関わることが知られていることから、伸展刺激はMATIIおよびCOX2を介して骨形成に関わることが期間全体の研究成果より示唆された。
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