2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子改変マウスを用いた象牙質の石灰化メカニズムの解明
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25862011
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
道上 郁美 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (80589771)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | SNAREタンパク質 / エナメル芽細胞 / 石灰化 / 小胞輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
小児歯科領域では歯の形成異常を主訴とする患者も多い。その代表的なものとして象牙質形成不全症やエナメル質形成不全症があげられる。これらは遺伝性疾患であるため、責任遺伝子やその変異部位の同定などが進んでいる。しかし、明白な家族歴や基礎疾患がないにもかかわらず、う蝕の急速な進行や著しい咬耗、歯の破折を示す患者もいる。このような臨床的背景から、単に責任遺伝子の異常ではない、いまだ明らかにされていない石灰化異常の原因があるのではないかと考えた。 本研究では、小胞輸送および分泌と歯質の石灰化の関係に着目し、小胞輸送において小胞がターゲットとなる膜に特異的に融合する機構に関与するタンパク質として知られているSNARE(Soluble NSF Attachment protein Receptor)タンパク質をターゲットとした。 昨年度中に作製したマウスから、S23fl/fl;K14-Creマウスが得られたため、8週齢および3日齢のマウスについて2次元マイクロCT解析を行った結果、S23fl/fl;K14-Creマウスでは、同腹のコントロールマウスと比較し、第一臼歯において石灰化物の形成量が少ない傾向がみとめられた。ただし、得られるノックアウトマウスの数が少なく、データ数が少ないため今後も検討を続ける予定である。 エナメル芽細胞と象牙芽細胞の分離培養についてはマウスより摘出した歯胚に酵素処理を行い、上皮系細胞層と間葉系細胞層に分離後、さらに酵素処理を行い単一の歯原性上皮細胞および間葉系細胞を得た。ケラチン14-Creマウスの歯胚から細胞を分離し、X-gal染色を行うことにより、分離した細胞が、上皮系細胞と間葉系細胞に分けられていることを確認した。また、免疫染色を行い、上皮系細胞がアメロジェニンおよびSnap23を発現し、間葉系細胞がDSPPを発現していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケラチン14-creマウスとR26Rマウスの交雑により得られたマウスの歯胚から細胞を分離し、X-gal染色を行うことにより、上皮系細胞と間葉系細胞を区別して分離できていることを確認した。また、分離した上皮系細胞の免疫染色において、アメロジェニンの発現を確認できたことから、得られた細胞はエナメル芽細胞であると同定でき、さらに、この細胞はSnap23を発現していた。また、エナメル芽細胞と同様に上皮系細胞であり、増殖や継代が困難であるとされている初代表皮細胞専用の培養液を用いると一定期間培養できることがわかった。今後、表皮細胞におけるsiRNAノックダウン法やインフェクション法を流用することでin vitro実験をすすめていく方針である。 また、コンディショナルノックアウトマウスについても、歯の石灰化領域の減少傾向がみとめられた。
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Strategy for Future Research Activity |
出生後のマウス歯胚より細胞を分離してきたが、胎生期のマウス歯胚より細胞を分離することで、より分化度の低い細胞が得られる可能性があるため、歯胚の採取時期についても現在検討を行っている。適切な時期の歯胚から分離し、適切な培地で培養することにより、現在分離している細胞より増殖能を有する細胞を分離培養できる可能性があり、石灰化誘導のみならず、今後は、表皮細胞の培養方法を参考にsiRNAノックダウンやインフェクションの方法を検討し、in vitroでの機能解析を進める予定である。これに並行し、細胞を分散させないことにより細胞密度に依存せず培養でき、酵素処理やピペッティングなどの物理的刺激を避けられることから、ノックアウトマウスとコントロールマウスの歯胚をそれぞれ上皮系細胞層と間葉系細胞層にわけ培養を行っており、それらについても石灰化能の検討や、メカニズムの解析を進める予定である。 コンディショナルノックアウトマウスについては、サンプルの回収時期を3~5日齢とすることで、効率的にサンプル数を増やしていく予定にしている。
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Causes of Carryover |
当初、歯が萌出し機能し始める3週齢のマウスの解析を進める予定で交雑および交配を行っていたが、3週齢マウスのジェノタイピングではノックアウトマウスがほとんど得られなかった。このため、ノックアウトマウスの解析数が当初予定より少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
出生0~3日齢ではノックアウトマウスの存在が確認できたため、解析の対象とするマウスを3日齢へと変更し、ノックアウトマウスの表現型解析を進めていく予定である。 また、データとして充分なサンプル数を得られれば、学会等で発表を行う予定である。
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Research Products
(1 results)