2013 Fiscal Year Research-status Report
バイオインフォマティクスの手法によるS.mutansの機能ドメイン探索法の確立
Project/Area Number |
25862013
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高島 由紀子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30589768)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Streptococcus mutans / バイオインフォマティックス / 齲蝕 / Gbp |
Research Abstract |
う蝕の主要な病原細菌である Streptococcus mutans の菌体表層には、グルカン結合タンパク (Gbp) が存在し、う蝕への関与が報告されている。これまで報告されている4種の Gbp のうち、GbpC はう蝕原性と最も強い関連性を有し、その遺伝子配列より高分子タンパク抗原 (PAc) との相同性が高いことが明らかにされているものの、グルカン結合部位の特定は未だなされていない。本研究の目的は、GbpC をコードする gbpC の遺伝子配列から GbpC の3次構造と機能ドメインを推定することにより、グルカン結合領域を解析し口腔内における複合バイオフィルム形成のメカニズムを明確にすることである。はじめに、GbpC タンパクの推定グルカン結合領域を決定するために、遺伝子配列から立体構造を構築した。さらに既知の結合性タンパクの配列との相同性の検索を行い、立体構造と比較して分子が結合すると推測される配列のスクリーニングを行い、5か所の領域を抽出した。抽出された5か所のグルカン結合領域を欠失させた gbpC をシャトルベクターに挿入しプラスミドを作製した。それぞれのプラスミドをすでに gbpC を欠失させている変異株に形質導入することにより、部分的に5か所のアミノ酸配列が欠落した gbpC を発現する5種類の変異株を作製した。作製した変異株を用いて、デキストラン結合能の測定を行ったところ、中央部付近の欠失変異株で有意な低下が認められた。さらに、欠失した部位のリコンビナント GbpC 断片タンパクを作製しドットブロットアッセイを行ったところ、中央部付近の領域を含む断片の値が有意に高くなった。以上の結果から、GbpC タンパクのグルカン結合領域は全遺伝子配列の中央部付近に存在する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の研究は順調に進んでいる。高次構造より推定された GbpC のデキストラン結合部位から、それぞれの部位を欠失させた変異株を作製し、デキストラン結合能を調べることにより結合部位を決定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、推定されたグルカン結合部位の配列を PCR 法にて増幅させた後、この PCR 産物をタンパク発現用ベクター pET42a (+) に挿入し、 プラスミドを作製する。作製したプラスミドをタンパク発現用大腸菌 Escherichia coli BL21 (DE3) 株に形質転換し、Luria-Bertani 液体培地で震盪培養し、遠心分離を行う。得られた菌体を超音波で破砕し、遠心分離した後、上清を GST 融合タンパク質精製用アフィニティーゲルを用いてリコンビナント GbpC タンパク (rGbpC) を精製する。そして、欠失変異株で行ったように、得られたリコンビナントタンパクを用いてデキストラン結合能を調べる。さらに、BIAcore システムを用いて、デキストランと rGbpC の親和性の解析を行う予定である。以上のことにより、抽出された領域の機能について決定していく予定である。
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Research Products
(2 results)