2014 Fiscal Year Annual Research Report
小児齲蝕の新たな予防法開発へ向けたリスク増悪因子の解明
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25862020
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大原 紫 広島大学, 医歯薬保健学研究院(歯), 助教 (80634469)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 小児齲蝕 / Streptococcus mutans |
Outline of Annual Research Achievements |
齲蝕は小児歯科臨床において最も多く遭遇する疾患である。主要な齲蝕原因菌であるStreptococcus mutans(S. mutans) は、口腔内の様々な環境変化による影響を受けており、個人が保有するS. mutans の性情を解明することは齲蝕予防において重要である。本研究では、小児より得た臨床分離S. mutans のバイオフィルム内での齲蝕関連遺伝子発現量を測定し、これまでに明らかにした浮遊状態での遺伝子発現量との違いと齲蝕重症度との関連を検討した。バイオフィルム形成にはフローセルシステムを用いた。Brain Heart Infusion 液体培地にて対数増殖期まで培養した臨床分離S. mutans (高齲蝕群、低齲蝕群)を、2 ml/min の速度でフローセルシステム内を流動させ、形成されたバイオフィルムからmRNA を抽出した。S. mutans の16SrRNA を内部コントロールとし、不溶性グルカン合成に関与するglucosyltransferase B 遺伝子(gtfB)および酸性環境下への適応に関与するF-ATP のβサブユニットであるatpD のmRNA 発現量をReal- ime RT-PCR 法により測定した。浮遊状態でのgtfB, atpD のmRNA 発現量は、高齲蝕群で増加し、低齲蝕群では減少していたのに対して、バイオフィルム形成下では両群ともに増加していた。しかし、低齲蝕群と比較すると高齲蝕群の増加率は大きかった。口腔内においてS. mutans はバイオフィルムを形成しており、齲蝕リスクの高い小児が保有するS. mutans はバイオフィルム内でも齲蝕関連遺伝子を多く発現することができることが示唆された。
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