2014 Fiscal Year Research-status Report
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25862035
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
山本 晴子 日本大学, 松戸歯学部, 助教 (10633943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 低ホスファターゼ症 / アルカリホスファターゼ / 歯髄 / 体性幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、低ホスファターゼ症モデルマウスの歯髄細胞由来の体性幹細胞を培養し分化能を評価し、石灰化の機序を明らかにすることを目的としている。 また、歯科領域において歯髄を用いた体細胞性幹細胞の再生医療への利用を試みられているが、細胞培養や分化誘導の条件など明らかとされていない。それらを明らかにし、歯髄由来幹細胞の医療応用を発展させることを目的としている。 現在まで、低ホスファターゼ症モデルマウスのheteroマウスをかけ合わせ得られた仔マウスより組織片を採取しgenotypingを行い、低ホスファターゼ症モデルマウスを得る事が確認できた。genotypingで低ホスファターゼ症モデルマウスと確認できた5-10日齢のマウスの歯胚から体性幹細胞を分離、培養した。その後、歯胚由来の幹細胞様の細胞からtotal RNA採取し幹細胞に発現している遺伝子をRT-PCRにて増幅したところ、バンドを得る事ができたことから今回得た細胞が体性幹細胞であると確認できた。それらの細胞を軟骨誘導培地にて培養し、トルイジンブルー染色を行い光学顕微鏡下にて観察したこところ、青く染色されたため軟骨細胞が誘導されていると考えられる。以上のことから低ホスファターゼ症モデルマウスの歯胚より得られた体性幹細胞が軟骨細胞への分化したことを認めた。これらの細胞を用いてマイクロアレイ、RT-qPCR等の更なる分析を行なう事で、低ホスファターゼ症の軟骨細胞の分析を行なう事が可能となり、低ホスファターゼ症の病態を明らかにすることが期待できる。また、低ホスファターゼ症モデルマウスの歯胚より採取した幹細胞と野生型マウスの歯胚から採取した幹細胞を比較したところ、低ホスファターゼ症モデルマウス由来の幹細胞は増殖が遅く、増加する細胞数も少ない傾向にある事が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、第一の目的として低ホスファターゼ症モデルマウスの歯髄細胞由来の体性幹細胞を分離、培養し、それらの細胞を分化させ増殖能や分化能の分析を行う事を目的としている。得られた細胞の非組織特異型アルカリホスファターゼに関連する遺伝子や、石灰化に関与する遺伝子の発現レベルをDNAマイクロアレイ解析することで、石灰化の機序を明らかにすることを目的としている。また、もう一つの目的として、歯髄由来の幹細胞の培養条件や分化能、また分化した細胞の誘導条件を明らかにし、歯髄由来の幹細胞のより有効な医療への応用を発展させることを目的としている。 これまでの研究において、低ホスファターゼ症モデルマウスの歯胚より細胞を採取、培養しRNAを抽出後、そのRNAを用い幹細胞マーカーにてRT-PCRを行なったところ、幹細胞マーカー発現を認めた。また、得られた低ホスファターゼ症モデルマウスの幹細胞は野生型マウスの幹細胞と比較し、増殖能に乏しい事が明らかとなった。この幹細胞を軟骨誘導培地にて培養したところ、軟骨様の細胞となった。誘導された細胞のトルイジンブルー染色を行ったところメタクロマジーを認めたため、軟骨細胞である事が確認できた。以上の事から低ホスファターゼ症モデルマウス由来の体性幹細胞の分離、培養し増殖能、分化能の分析を達成する事はほぼ可能であると考えられる。これらの経過から申請書記載の計画においてはH27年度における計画の中程度まで達成する事が出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、歯髄幹細胞の増殖能をMTTアッセイで評価し野生型と低ホスファターゼ症モデルマウスの比較を行い更なる増殖能の分析を行う。また分化した軟骨細胞のRNAを用いてマイクロアレイ分析を行い低ホスファターゼ症モデルマウスにおける遺伝子発現を評価し、そのデータから野生型と比較するためRT―qPCRにて発現レベルを定量化し比較を行っていく予定である。 軟骨細胞の分析を行なった後に、骨細胞への分化誘導を行い骨細胞の分析を行なって行く事を予定している。 これらの結果を総合して、低ホスファターゼ症モデルマウスの歯胚由来体性幹細胞の分化を解析し国内外の学会にて発表を行い、雑誌への投稿を予定している。 H26年に国際学会にて発表予定だったが妊娠中のために渡航をキャンセルしたため、発表ができなかった点で変更があった。研究計画において変更はない。
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Causes of Carryover |
平成26年12月から平成27年3月末まで産休および育休のため休暇を取得により、助成金補助事業期間延長を行ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費については申請時と同様変更はない。旅費について、IADR2014、南アフリカ、ケープタウンにて発表予定であったが、妊娠中のため発表を行なわない事となった。IAPD2015、UKグラスゴーにて発表を予定している点について変更となっている。
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