2014 Fiscal Year Annual Research Report
知覚過敏抑制材「ナノシール」を用いた新たな齲蝕予防法の検討
Project/Area Number |
25862042
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
柏村 晴子 福岡歯科大学, 歯学部, 助教 (20425268)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノシール |
Outline of Annual Research Achievements |
歯の脱灰は、日常的に飲用されている清涼飲料水によっても起こりうる現象である。しかしながら、習慣化された飲用を制限することは、特に小児においては、困難である。よって、我々小児歯科医にとって、酸蝕を予防し再石灰化を促すことは重要である。 ナノシール(日本歯科薬品株式会社)は、知覚過敏抑制材でありながら耐酸性能に優れており、簡便な操作で使用できるため、齲蝕予防への応用が期待されている。そこで、ナノシールの酸蝕歯に対する再石灰化効果ついて検討を行った。なお、本研究は福岡歯科大学倫理審査委員会の承認(許可番号 第143号)のもとに行った。 炭酸飲料水(pH:2.7)に2時間浸漬したエナメル質表面(酸蝕)は、乳歯・永久歯ともに激しく脱灰されていた。これらの酸蝕歯は、再石灰化液に2週間浸漬しても、完全には回復が認められなかった。このことより、炭酸飲料水による酸蝕は、通常の口腔内では、自然に回復することが難しいことが示唆される。一方、ナノシールを酸蝕面に塗布すると、露出したエナメル小柱構造はみられず、平滑なエナメル質が観察された。これは、ナノシールを塗布すると、全面がナノ粒子析出物で瞬時にミネラル化されるためと考えられる。また、再石灰化環境により、エナメル質表面に平滑化がさらに促進される様子が確認できた。ナノシールを塗布した歯面はエナメル質表層下脱灰病変の再石灰化効果を促進することが以前にも報告されており、今回のように強い酸蝕を受けた歯質の回復にも同様の効果があったと考えられる。 知覚過敏抑制材であるナノシールは、酸蝕歯治療の1つの手段として期待される。
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