2014 Fiscal Year Annual Research Report
アデノシンによる歯周組織メカニカルストレス応答機構の制御
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25862046
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (60452447)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アデノシン / 歯根膜 / メカニカルストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、骨代謝の調節因子の一つであるアデノシンが、歯周組織の恒常性維持に担う役割について、メカノバイオロジーの視点から解析を行った。平成26年度の研究成果について以下に報告する。 これまでにアデノシンは虚血性疾患や腫瘍の研究から低酸素応答との強い関連性が報告されている。そこでH25年度に確立したマウス矯正モデルを用いて、歯牙矯正時の歯周組織が低酸素状態となるか否かについて検討を行った。すなわち、C57BL/6の上顎第一臼歯と第二臼歯の歯間部に厚み0.54mmのOリングエラスティックモジュールを挿入し、屠殺1時間前に低酸素部位に集積することが知られているピモニダゾールを腹腔内投与し、凍結切片を作成した後、免疫染色法にて同分子の集積部位を解析した。その結果、予想された通り、圧迫側における歯周組織が低酸素状態となっていることが示唆される染色像が得られた。そこで、歯根膜細胞あるいは歯肉線維芽細胞を低酸素環境下にて培養し、各アデノシン受容体とアデノシン産生酵素CD73の発現について解析を行った。すなわち、歯根膜細胞あるいは歯肉線維芽細胞を1%酸素濃度下にて12時間培養した際の各アデノシン受容体およびCD73の遺伝子発現を解析したところ、歯根膜細胞においてはA2bアデノシン受容体の発現のみが上昇する傾向を示した。一方で、歯肉線維芽細胞においては、A1アデノシン受容体の発現が低酸素で低下し、HIF-1a阻害剤存在下では、その低下が抑制された。同様の結果はdeferoxamine刺激によっても確認された。またA2bアデノシン受容体の発現は低酸素およびdeferoxamine刺激によって上昇し、同上昇はHIF-1a阻害剤存在下では有意に抑制された。以上の結果から、メカニカルストレスによって誘導される低酸素環境がアデノシンシグナルの制御に関与している可能性が示唆された。
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