2014 Fiscal Year Annual Research Report
減量療法を行う肥満患者における歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価検査の有用性
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25862052
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
冨川 和哉 九州大学, 大学病院, 助教 (60614922)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯周病 / 肥満 / 減量療法 / 血清IgG抗体価 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,歯周病治療と肥満治療が相互に与える影響を検討することを目的としている。そのために,減量療法を行う予定の肥満患者を対象として肥満に関連する診査項目と,歯周病の感染度や重症度をあらわす歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価との関連性を明らかにし,個々の臨床診査項目を抽出・精査して歯周病治療と肥満治療が相互に与える影響に関する知見を得ることとした。 減量療法を完遂し,歯周病患者の臨床診査項目(歯周ポケット,ポケットからの出血ヵ所など)の採取が可能であった患者数は9名であった。減量療法前,減量療法終了後,維持期終了後の9名の歯周病の検査データの変化は,4 mm以上の歯周ポケット,出血ヵ所は減量療法後に著明に減少し,維持期終了時には増加傾向にあった。歯周病の治療を行うことなく歯周病の検査データが改善したことは,減量による脂肪組織の減少が口腔内の炎症のメカニズムに何らかの影響を与えていることが示唆された。しかし,口腔清掃状態の指標であるプラークコントロールレコードは初診時と比較して減量療法後,維持期終了後ともに減少傾向にあったことから,その影響も考慮する必要がある。 肥満患者における歯周病原細菌に対する血清IgG抗体価は,多くの患者でPg381に対する抗体価が上昇していた。現在,減量療法を完遂した46名のうち,同意が得られた患者において,Pg381に対する抗体価を含めた歯周病に関連する検査項目と,減量療法で採取したBMIなどの基礎データ,生化学的検査データ(高感度CRP,TNF-αなど),骨密度のデータなどを比較・検討中である。体重やBMIでは得られない患者ごとの体脂肪量を評価できるDXA法と歯周病関連の検査データと比較した結果は新たな知見が期待できる。 今後,本データをより詳細に解析し,国内・国外の学会発表を行い,国際誌に投稿し,歯周病と肥満の関連性の一端を解明していく。
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