2013 Fiscal Year Research-status Report
残存歯根膜と成長因子を利用した意図的トランスプラントによる歯周組織再生療法の確立
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25862053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹内 尚士 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 研究員 (60630762)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 根分岐部病変3度 / 意図的再植 / 歯周組織再生療法 / エムドゲイン / アンキローシス |
Research Abstract |
来年度の本実験に備えて、12ヵ月齢のビーグル犬2頭を使用し予備実験を行った。 研究計画書における実験Aとして、上顎左右第三前臼歯(P3)を使い、再植後に歯周組織再生を促進しアンキローシス、歯根吸収を抑制することが期待されるエムドゲインの、再植歯に対する作用を確認する実験を行った。分岐部側の歯根膜をセメントーエナメル境(CEJ)から深さ5mm、隅角から隅角の幅で除去し、近遠心根を入れ替え再植し、歯根膜のない面を骨面に向けた。実験群は再植の際、根面にエムドゲインを塗布し、コントロール群はそのまま再植を行った。その結果、実験群では歯根膜の存在する歯根面ではアンキローシスは認められなかったが、歯根膜のない歯根面では歯頚部付近にアンキローシスが見られた。コントロール群では歯根膜の有無に関わらず、いずれの面でもアンキローシスが認められた。また両群で根尖付近に歯根吸収が見られた。これにより、歯根膜の存在しない歯根面ではエムドゲインを使用してもアンキローシスが起こりうることが示唆された。 次に実験Bとして、下顎左右第三、第四前臼歯(P4)の分岐部に3度の根分岐部病変(幅5mm 深さ5mm)(4欠損/頭)を外科的に作製し、実験群としてI)処置なし、II)近遠心根入れ替え再植法、III)近遠心根入れ替え再植法+ エムドゲイン、IV)エムドゲインのみの4処置を設定し、無作為に処置を行った。通法に従い脱灰薄切標本を作製し組織学的評価を行ったところ、2頭のうちの1頭では実験群III)で、もう1頭では実験群II)で他群と比較し、根分岐部に有意に骨再生が認められた。実験群III)では分岐部側ではアンキローシスが少ないものの、歯根膜のない歯槽骨側ではアンキローシス、歯根吸収が認められた。実験群II)ではアンキローシス、歯根吸収が分岐部側、歯槽骨側のいずれの側でも認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画は実験Aと実験Bである。 実験Aでは上顎左右P3を使い、再植の際にエムドゲインを併用することにより、歯周組織再生の促進やアンキローシス、歯根吸収の抑制効果が見られるかを検証し、歯根膜の存在する面でのエムドゲインの効果を確認できた。実験Bでは下顎左右P3、P4を使い、垂直性骨欠損を伴う根分岐部病変3度の実験モデルの確立と近遠心根入れ替え再植法の術式の確立を目的に実験を行った。その結果、観察期間8週に対しての骨欠損のクリティカルサイズを決定することができ、近遠心根入れ替え再植法は初めての試みであるにも関わらず、骨欠損部において歯周組織再生を確認することができた。さらに当初、再植後の歯の固定方法が不確定要素であったが、隣在歯にグルーブを作製し、そこにワイヤーを埋め込みエナメルボンドシステムで固定したところ、観察期間中も脱離することはなく再植歯の固定方法も問題ないことが確認できた。 これらの実験結果を基に、平成26年度に頭数を増やした本実験を計画している。
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Strategy for Future Research Activity |
本実験として、下顎左右P3、4の分岐部に3度の根分岐部病変(幅6mm 深さ5mm)(4欠損/頭)を外科的に作製し、実験群としてI)歯根分割、II)近遠心根入れ替え再植法、III)近遠心根入れ替え再植法+ エムドゲイン、IV)歯根分割+エムドゲインのみの4処置を設定し、無作為に処置を行う。予備実験と違いI)、IV)で歯根分割としたのは定量分析をする際に、分岐部におけるCEJからの計測を容易にするためである。分岐部病変については、クリティカルサイズとして幅5mm、深さ5mmで問題ないが、幅を6mmにすることで、サイズの違う近遠心根の入れ替えを簡単にすることができる。また、再植の際に、歯槽骨と歯根が密接することでアンキローシスや歯根吸収が起こる可能性が高まるため、そこに余裕を持たせるという意図もある。組織学的評価項目は新生骨量、歯冠歯根長比、アンキローシス量、歯根吸収量などを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本実験を行うにあたり、実験動物数を増やすため 実験動物の購入、飼育費用に充てる
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