2014 Fiscal Year Research-status Report
多色発光ベクターによるヒト歯根膜活性化薬物のハイスループット選別法の開発
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25862060
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
鳥居 大祐 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10548259)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯根膜 / 幹細胞 / セメント芽細胞 / セメント質 / BMP / レポーターアッセイ / 化合物ライブラリー / 化合物スクリーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
歯根膜には、セメント芽細胞への分化能を有する幹細胞あるいは前駆細胞が存在することが知られているが、その性質や分化機構の詳細は不明である。 本研究では、歯根膜細胞についてセメント芽細胞分化誘導作用を示す新規化合物の探索を目的として、培養ヒト歯根膜細胞と多色レポーターベクターを併用したハイスループット・スクリーニング法の開発を目指している。 今年度は、セメント芽細胞特異的マーカーであるCAP(cementum attachment protein)遺伝子とCEMP1(cementum protein 1)遺伝子の各プロモーター領域中に見出したBMP応答性エレメントを含む配列をそれぞれ挿入した多色発光ルシフェラーゼベクターを、セメント芽細胞分化能ならびに石灰化能を有するヒト歯根膜由来不死化細胞へ導入し、化合物ライブラリーのスクリーニングを実施した。現在、この内1種の化合物に関して、ヒト歯根膜由来不死化細胞におけるCAP遺伝子とCEMP1遺伝子のプロモーター活性上昇と遺伝子発現上昇を惹起することを確認できた。 また、昨年度中に行ったDNAマイクロアレイ解析の結果に基づき、サイトカインを用いたセメント芽細胞分化誘導実験においてRNA干渉法と定量RT-PCR法を行い、シグナル伝達経路に関わる遺伝子発現の関連性の解明を試みた結果、既に知られているBMPシグナル伝達経路上のいくつかの分子がセメント芽細胞特異的マーカーの発現調節に関与していることを示唆する知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度予定の研究計画に沿って、購入したライブラリーのうち約400種の化合物をスクリーニングし、このうち1種の化合物に関して、セメント芽細胞特異的マーカーのCAP遺伝子とCEMP1遺伝子の各プロモーター活性をヒト歯根膜由来不死化細胞において検出することができた。さらに、この化合物の作用下でCAP遺伝子とCEMP1遺伝子の発現が上昇することを定量RT-PCR法で確認した。 セメント芽細胞分化誘導実験の細胞試料におけるクロマチン免疫沈降(ChIP)とクロマチン免疫沈降シーケンシング(ChIP-seq)については未実施である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回のスクリーニングによってあげられた候補化合物に関して、歯根膜細胞培養系とマウス生体内でそれぞれ石灰化誘導能を調べる。さらに、遺伝子発現解析によって、この細胞分化に関わる分子間のクロストークの詳細を解明する。動物実験では口腔内でのインプラント実験を検討しており、セメント芽細胞分化誘導能を示し、かつ細胞毒性の無い新規医用素材開発に繋がる知見を得られるよう、計画している。 また、化合物ライブラリーのスクリーニングについても、異なる候補化合物の探索を目指し継続して実施する予定である。
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