2013 Fiscal Year Research-status Report
歯髄由来Muse細胞を用いた新規組織工学的歯周組織再生療法の開発
Project/Area Number |
25862061
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
長野 孝俊 鶴見大学, 歯学部, 講師 (10386914)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | Muse細胞 / 歯髄 / 歯周組織再生 |
Research Abstract |
本研究は鶴見大学歯学部倫理審査委員会の審査「歯髄由来Muse細胞を用いた新規組織工学的歯周組織再生療法の開発(受付番号1113号)」と承認のもとに行われた。本研究に使用したヒト歯髄細胞は、本研究の趣旨を十分に説明した後に書面にて同意の得られた、矯正学的見地から抜歯が必要であった被験者より、Gronthosらの報告による方法に従って酵素処理(3mg/mlのコラゲナーゼと4mg/mlのディスパーゼの併用)を行うことで、初代細胞として採取した。 その後、3~6代継代した細胞を用いて、Muse細胞の分離に供した。Muse細胞の分離は、横浜市立大学医学部にてSSEA-3陽性細胞、陰性細胞をセルソーターにて分離した後、96 well plateにシングルセルとして播種した。そして、1週間後にクラスターの形成率を観察した。また、将来の臨床応用を見据え、他の2検体については、UCLAのHeneidiらの報告に従って、初代細胞を採取する技術の確立を目指した。 今年度の結果として、 1、 通法に従って得られたヒト歯髄細胞(3~5継代)から、CD105・SSEA-3共陽性の細胞は0.04%(n=4)ほど得られたが、完全なクラスター形成を認めることは出来ず、他の組織と比較しても、ヒト歯髄細胞がMuse細胞の効率的な供給源になるという結果は得られなかった。 2、 UCLA報告のように、動物由来の抗体を用いずにMuse細胞を得るには、脂肪組織と歯髄組織に採取量の違いがあるため、酵素処理の時間や濃度など、様々な角度からさらなる検討が必要であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒト歯髄からMuse細胞を効率的に分離、培養させる手法の確立を目指して、Gronthosらの方法とHeneidiらの報告を参考にして、一年間検討を行った。 しかしながら、ヒト歯髄細胞から採取できたMuse細胞と思われる細胞の割合は、0.04%とかなり少量であるという結果であったため、効率的な手法が確立できたとは言えず、その後に、クラスター形成を確認して、ピックアップによる継代を行って、Muse細胞の大量培養を行うという行程に達するまでには至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
Gronthosらの通法に従って採取したヒト歯髄細胞から、CD105・SSEA-3共陽性の細胞は0.04%しか採取できなかったため、昨年度より効率的に採取することができるよう、酵素処理の条件や培養条件を検討する予定である。 また、最近報告のあったHeneidiらの方法のように、動物由来の抗体を用いずにMuse細胞を得ることができるよう、歯髄組織の採取方法、培養試薬などを一から洗い直して、培養方法などもさらなる検討を行い、ヒト歯髄組織から得られたMuse細胞が浮遊細胞として培養されている状態から、貼り付けて培養されている状態に転換させる所までを本年度で行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ヒト歯髄から得られたMuse細胞の割合こそ少量であったが、研究の遂行はスムーズであったため、当初の見込みよりも抗体や培養用試薬を多量に購入せずに済んだため、次年度使用額が生じた。 ヒト歯髄からMuse細胞を分離する培養システムの効率化を図るため、新たにメディウムや血清などの培養用試薬を購入して、最適な培養条件を決定する実験を行う予定である。また、SSEA-3とCD-105の抗体を購入して、積極的に二重染色を行い、セルソーターにてソーティングを行う回数を増やしていく予定である。
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