2013 Fiscal Year Research-status Report
歯周病由来血清アミロイドA(SAA)を介した動脈硬化発症機序の解明
Project/Area Number |
25862062
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
武藤 昭紀 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (50549433)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病 / 動脈硬化症 / 血清アミロイドA |
Research Abstract |
ペリオドンタルメディスンの概念から、歯周病と動脈硬化症の関係が注目を浴びている。申請者らは、歯周病を惹起させたマウスの末梢血タンパクと肝臓mRNAにおいて急性炎症マーカーである血清アミロイドA(SAA)が上昇することを見出した。そしてin vitroの実験系でヒト血管内皮細胞に対するSAAの添加により、動脈硬化発症に関与するVCAM-1、ICAM-1、MCP-1などのマクロファージ接着因子・遊走因子の発現上昇を認めた。そこで本研究課題では、SAAを介した歯周病による動脈硬化症発症のメカニズムの詳細を明らかにすることを目的として実験を開始した。 当該年度は、ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)にSAAヒトリコンビナントタンパク(hSAA)を添加し、血管内皮細胞で亢進する、SAA受容体の遺伝子発現を確認することを計画した。当初の計画では、SAA血中濃度の健常者上限は8 ug/ml、臨床的には10-20 ug/mlがグレイゾーン、20 ug/ml以上を明らかな異常値とされているためhSAAをそれぞれ2.5、5、10 ug/mlの濃度で添加し実験群とする予定であったが、受容体遺伝子の発現の差にばらつきが生じたため添加するSAA濃度を20 ug/mlに上げて実験を行った。また、PBS添加群をコントロール群とし、24時間培養を行った。 上記の細胞からAIIPrep DNA/RNA/Protein Mini Kit (QIAGEN)にてタンパクとRNAを抽出した。抽出したRNAは逆転写を行い、cDNAに変換し、リアルタイムPCR法にてTLR2、TLR4、CST3、ABCA1、ABCA7、CD36、SCARB1、FPR2、AGERの発現を、SAA添加群とコントロール群について比較した。その結果、培養24時間後にTLR2の発現が有意に亢進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、ヒト大動脈血管内皮細胞(HAEC)にSAAヒトリコンビナントタンパク(hSAA)を添加し、血管内皮細胞で亢進する、SAA受容体の遺伝子発現を確認することを計画した。当初の計画では、SAA血中濃度の健常者上限は8 ug/ml、臨床的には10-20 ug/mlがグレイゾーン、20 ug/ml以上を明らかな異常値とされているためhSAAをそれぞれ2.5、5、10 ug/mlの濃度で添加し実験群とする予定であったが、受容体遺伝子の発現の差にばらつきが生じたため添加するSAA濃度を再検討を行った。その結果、添加するSAA濃度を20 ug/mlに上げて実験を行うことにより、実験の再現性を得ることができたため、SAA濃度の修正をして実験を再度行った。そのため、本年度中の研究目標である受容体タンパク質の解析までは至らなかった。しかしながら、タンパク解析の実験系は確立しているため、順次解析を行っていく予定である。以上により予定されている実験の遂行に支障はないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験で発現上昇の見られた受容体、TLR2のshRNAレンチウィルスを外注(ライフテクノロジー株式会社)製作し、HAECに感染させた後.SAA刺激による接着・遊走因子の発現を比較、検討する予定である。shRNAを用いた実験に関しては,実験系を確立している本学研究所 小林泰浩准教授より指導を受ける. HAECでのshRNAのSAAシグナル抑制効果の解析 作製したshRNAに感染したHEACを本年度に行ったの培養系においてhSAAを添加し、24時間培養する。抽出したRNAは逆転写を行い、cDNAに変換し、リアルタイムPCR法にてICAM-1、VCAM-1、MCP-1の発現を、shRNA感染群とコントロール群について比較する予定である。本実験によりSAA刺激により発現亢進が見られる接着因子および遊走因子がTLR2受容体を介して行われていることが明らかとなる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
実験室の関係で、予定していた実体顕微鏡ではなく、拡大鏡を購入したため、その差額分を次年度に繰り越した。 shRNAをライフテクノロジー株式会社に外注し作成する予定だが、Sigma-Aldrich社に対しても外注を行い、効果の高いshRNAを採用することにする。
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