2014 Fiscal Year Research-status Report
歯周病由来血清アミロイドA(SAA)を介した動脈硬化発症機序の解明
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25862062
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
武藤 昭紀 松本歯科大学, 歯学部, 講師 (50549433)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来より、ペリオドンタルメディスンの考えから、歯周病と動脈硬化症の関係が注目を浴びている。申請者らは、歯周病を惹起させたマウスの末梢血タンパクと肝臓mRNAにおいて急性炎症マーカーである血清アミロイドA(SAA)が上昇することを見出した。そしてin vitroの実験系でヒト血管内皮細胞に対するSAAの添加により、動脈硬化発症に関与するVCAM-1、ICAM-1、MCP-1などのマクロファージ接着因子・遊走因子の発現上昇を認めた。そこで本研究課題では、血管内皮細胞における、動脈硬化症発症に関わるSAA受容体を解析し、歯周病由来SAAシグナル抑制による歯周病誘導性動脈硬化症モデルに対する抑制効果を解析することにより、SAAを介した歯周病による動脈硬化症発症のメカニズムの詳細を明らかにすることを目的として実験を開始した。 昨年度はSAAをヒト血管内皮細胞に添加することにより、発現上昇が認められるSAA受容体の探索を行ったところ、toll-like receptor2(TLR2)の発現上昇が認められた。そこで、当該年度は、TLR2に対するshRNAレンチウィルスの作製および導入実験を試みた。しかしながらshRNAレンチウィルスの導入効率が不安定で、SAA-TLR2 signal pathwayの抑制効果にばらつきが見られたため、TLR2に対する中和抗体を用いる実験系に変更し実験を施行した。その結果、ヒト血管内皮細胞にSAAを添加することによってみられるVCAM-1、ICAM-1、MCP-1などのマクロファージ接着因子・遊走因子の発現上昇が、TLR2に対する中和抗体を添加することにより、それらの発現が有意に減少した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は、SAA受容体であるTLR2に対するshRNAレンチウィルスの作製および導入を行い、SAA-TLR2 signal pathwayを抑制することにより、ヒト血管内皮細胞にSAAを添加することによってみられるVCAM-1、ICAM-1、MCP-1などのマクロファージ接着因子・遊走因子の発現上昇を抑制されるか検討した。しかしshRNAレンチウィルスの導入効率が不安定で、SAA-TLR2 signal pathwayの抑制効果にばらつきが見られたため、TLR2に対する中和抗体を用いる実験系に変更し実験を施行したため、実験の遅れが生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の実験で抑制効果が認められたTLR2に対する中和抗体を、動脈硬化易形成マウス(APOE遺伝子欠損マウス)の口腔内にIL-6を投与することによって動脈硬化を促進する実験系に対して投与を行い、その効果を心臓でのoil-red染色で比較・検討する予定である。 マウスに対してIL-6を投与する実験系および、心臓の凍結切片作製および染色法はすでに確立済みである。
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Causes of Carryover |
shRNAの作製を複数回行う予定であったが、中和抗体に変更したためその差額分を次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
TLR2中和抗体(BD bioscience)を購入し、マウス尾静脈より投与実験を行う
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Research Products
(3 results)