2013 Fiscal Year Research-status Report
血清アミロイドAアイソタイプの種類による動脈硬化症に対する影響
Project/Area Number |
25862063
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
窪川 恵太 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (20460420)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病 / 動脈硬化症 / ApoE-/-マウス / SAAアイソタイプ / TLR2 |
Research Abstract |
申請者は,現在まで動脈硬化症易形成性であるApoEノックアウト (ApoE-/-) マウスの口腔内に,歯周組織で産生される炎症性サイトカインの一つであるIL-6 を注入した場合,肝臓での血清アミロイドA(Serum Amyloid A: SAA)SAAmRNA発現上昇,血中SAAタンパクの増加に伴い動脈硬化病変が増悪することを明らかにした.このことから,歯周病により産生されるSAAのアイソタイプ別の病変部血管内皮における接着因子(ICAM-1,VCAM-1),遊走因子 (MCP-1),およびTLR2 の発現亢進の比較を行い,SAA の経路を介した歯周病による動脈硬化症の発症,および増大の詳細なメカニズム解明を本研究の目的とする. このために当該年度は,歯周炎誘導性動脈硬化亢進モデルとして,ApoE-/-マウスの口腔内よりIL-6を毎週投与し,1日,1,2,3,4週で血液,肝臓,大動脈を採取し,肝臓および病変部でのSAA (SAA1,SAA2,SAA3) 遺伝子発現,大動脈での動脈硬化程度,病変部における接着因子(ICAM-1,VCAM-1),遊走因子 (MCP-1) ,SAAレセプター(TLR2)遺伝子発現を観察,計測した.その結果,肝臓および病変部ともにSAA3と比較してSAA1,SAA2のmRNA量が有意に発現上昇し,病変部でのICAM-1,VCAM-1,MCP-1,TLR2のmRNAも発現が上昇した.さらに血管内壁の脂肪沈着量も増大した.以上より,歯周病により産生されるIL-6刺激で,肝臓でのSAA1,SAA2産生が上昇し,動脈硬化発症を誘導することが確認された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は,ApoE-/-マウスの口腔内にIL-6を投与し,肝臓,血中,病変部大動脈のSAAアイソタイプによる動脈硬化発症の影響程度を解析することを計画した.当初の計画では,血中SAA蛋白量において,SAA1,SAA2,SAA3濃度比率を比較する予定であったが,個体ごとに発現がばらつくため,抗体を変更し解析予定である.また,免疫染色による病変部のICAM-1,VCAM-1,MCP-1,TLR2発現も個体によるばらつきを認めたため,抗体を変更し順次解析を行っている.肝臓および病変部大動脈の遺伝子発現は確認できているため,予定されている実験の遂行に支障はないと考える.
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Strategy for Future Research Activity |
血中SAA蛋白量測定後,SAAアイソタイプの同定,および動脈硬化影響の相関性を解析する.また,脂肪線状が形成される12週齢のApoE-/-マウスの近位大動脈弓から細胞を抽出し,得られた培養細胞から血管内皮細胞を抽出する.mouse recombinant SAA (SAA1,SAA2,SAA3) (lifetechnologies 社) を2.5ug/ml の濃度で添加し,AIIPrep DNA/RNA/Protein Mini Kit (QIAGEN) にてタンパクとRNAを抽出する.抽出したRNAはcDNA に変換し,リアルタイムPCR 法,タンパクはウエスタンブロッティング法にてICAM-1,VCAM-1,MCP-1およびTLR2 の解析を行う . 上記より動脈硬化症に対するSAAアイソタイプの同定,作用機序および影響程度が解明されると,動脈硬化症に対する歯周病の直接的な因果関係が明らかにできると考える.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究予定が遅延していることから予定物品を購入しなかったため. 平成25年度の遅延している研究計画を平成26年度にて順次遂行する予定である.
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Research Products
(3 results)