2013 Fiscal Year Research-status Report
歯周病由来SAAによる動脈硬化発症機序の分子生物学的アプローチ
Project/Area Number |
25862065
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
西田 英作 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (10512519)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歯周病 / 動脈硬化症 / 血管内皮細胞 / 単球遊走因子 / 単球接着因子 |
Research Abstract |
申請者は、動脈硬化易形成マウスであるApoEノックアウトマウスの腹腔内に、歯周病菌が産生する炎症性サイトカイン刺激を肝臓に与える目的で、歯周病罹患時に上昇する炎症性サイトカインであるIL-6を投与することで擬似的な歯周病を惹起させる研究を行った。その結果、ApoEノックアウトマウスの肝臓組織のmRNA、および末梢血タンパクにおいて急性炎症マーカーである血清アミロイドA(以下SAA)が上昇し、動脈硬化部位が増大することを見出した(未発表)。さらにはin vitroにおいて、このSAAのリコンビナントタンパクでヒト大動脈血管内皮細胞を刺激したところ、前述した単球接着分子のmRNA発現上昇を確認した(未発表)。 現在まで、動脈硬化症発症機序、特に血管内皮細胞は多種多様な経路が報告されているため、本研究は、歯周病由来による肝臓より産生されたSAAを介して、どのように血管内皮細胞の単球接着分子に作用しているかにフォーカスを当てる、つまり歯周病由来SAAがトリガーとなる動脈硬化症発症機序を詳細に解明する。 平成25年度はin vitroにおいて、このSAAのリコンビナントタンパクでヒト大動脈血管内皮細胞を刺激する際の最試適濃度を検討することを目的とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.ヒト大動脈内皮細胞の培養について。ヒト大動脈内皮細胞(タカラバイオ株式会社)(以下HAECとする)を専用培地で12穴プレートに各5×105個の細胞を播種する。継代数は4から8回とし、コンフルエントになるまで37℃、5%CO2下で培養を行う、という目標は達成できた。 2.HAECへSAAヒトリコンビナントタンパクの添加、至適濃度の検索似ついて。SAAの血中濃度の健常者上限は8ug/ml、臨床的には10~20ug/mlがグレイゾーン、20ug/mL以上を明らかな異常値としている。従ってコンフルエントに達した1の細胞を、血清無しの専用培地に交換し、human recombinant SAA(R&D社)をそれぞれ2.5、5、10ug/mlの濃度で添加し実験群とする。また、培養時間は単球が血管内皮細胞に接着するまで15~30分後、20時間で消失する。従ってSAA添加後は1、6、12、24時間培養する。また、PBS添加群をコントロール群とし、同様に培養を行う。以上の目標について、試適濃度は10ug、培養時間に関しては設定した時間で行うことが最も最適な環境だと判明した。
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように現在までの達成度は、概ね順調に進展しているとしたのは、平成25年度の目標としてSAA刺激によるHAECの単球接着数の解析として、SAA刺激を与えたHAECにヒト培養単球細胞(CD14陽性、フナコシ株式会社)を添加し、共培養する。その後、PBSで洗浄、パラホルムアルデヒドで固定し、CD14、もしくはCD68の単球抗体(サンタクルーズ社)で免疫染色を行う。血管内皮細胞に接着した単球数をカウントすることによって、SAAによる単球接着分子の発現による影響を数値化する、という目標が達成できていないからである。平成26年度はこの達成できなかった単球と血管内皮細胞の共培養による実験系よりも、E-カドヘリンカスケードについてmRNAレベルであるが、その解析を優先していく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前述した通り、平成25年度の目標としてSAA刺激によるHAECの単球接着数の解析、SAA刺激を与えたHAECにヒト培養単球細胞(CD14陽性、フナコシ株式会社)を添加し、共培養し、SAAによる単球接着分子の発現による影響を数値化する、とういう目標が達成できていないため、40万円弱の未使用顎が生じた。平成26年度は、実験計画変更し、この達成できなかった単球と血管内皮細胞の共培養による実験系よりも、E-カドヘリンカスケードについてmRNAレベルであるが、その解析を優先していく予定であるため、未使用顎を充てたい。 上述の、E-カドヘリンカスケードに関わる遺伝子群、TLR2、TRL4(細胞外、SAAレセプター)、MyD88(細胞質内、TLRの下流)、NF-κB(核内TLRの下流)、TNF-α(核内から細胞質、細胞外へ放出、E-selectinの発現増強因子)、E-selectin(細胞外、単球接着受容体)のリアルタイムPCRにおいて、発現ベクターを外注するための費用に充てる予定である。
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