2013 Fiscal Year Research-status Report
舌苔付着のメカニズムの解明~臨床応用可能な舌苔評価方法の確立~
Project/Area Number |
25862073
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
古川 清香 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50527322)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 口臭 / 舌苔 |
Research Abstract |
本研究は舌苔画像を用いた新たな舌苔付着の評価方法を確立し、舌苔付着のメカニズムを明らかにすることが目的である。平成25年度は、①デジタルカメラの舌苔付着拡大像を用いた舌苔付着の評価方法の構築、②既知の舌苔評価方法と新たな舌苔付着量評価方法の比較研究を行った。 1.デジタルカメラの舌苔付着拡大像を用いた舌苔付着評価方法の構築 (1)舌苔の撮影条件の決定 - 舌苔は舌後方1/3 に多量に付着するため、通常の撮影方法では、評価に使用するための良好な画像が得られない。そこで、人での撮影を繰り返し、舌の後方まで観察できる撮影時の舌のポジショニングを設定することができた。また、撮影時に舌苔のカラー判定も行うため、色調の補正等が必要となり、撮影条件として色調補正を行う方法を加えた撮影方法を決定することができた。(2)舌苔の撮影 - 平成25年度は、東京医科歯科大学歯学部附属病院息さわやか外来を受診した患者のうち、同意の得られた患者を対象に舌苔の撮影を行い、評価試料を収集することができた。(3)画像を用いた評価方法の確立 - 舌苔を撮影した評価資料の収集に時間がかかり、今年度は評価方法の評価を十分行うことができなかった。平成26年度に継続して実施する予定である。 2.既知の舌苔評方法と新たな舌苔付着量評価方法の比較検討 (1)倫理審査の申請 - 歯科学生やボランティアを対象とした舌苔の付着量評価方法の検討を行うために、倫理審査の申請を行い、承認を得ることができた。(2)既知の舌苔付着評価方法の検討 - 既知の舌苔評価方法に関する文献の収集と検討を行った。舌苔評価方法には、視診のみによる評価、舌苔湿潤量の測定、視診と触診による方法以外に、デジタル画像のRGBを用いて評価する方法があった。舌苔湿潤量の測定を試みたが、舌苔の量が少ない場合には視診と触診で舌苔が確認されても、測定は不能であると判明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、①舌苔撮影のポジショニングの決定、②外来患者の舌の撮影の開始、③歯科学生・ボランティアを対象とした調査の倫理審査委員会の承認、④既知の舌苔付着方法の検討について計画通り研究を実施し、成果を上げることができた。 しかし、研究を進めるなかで、舌苔の評価として最も有効とされている既知の舌苔評価方法である舌苔湿潤量の測定が非常に難しいことが判明し、ヒトを対象として臨床的にこの評価法を実施していくことは不可能であることが判明した。したがって、当初予定していた舌苔の新しい評価方法と既知の評価方法との比較について、一部計画を見直す必要が生じた。また、画像を用いた評価方法の確立については、研究者一人だけでなく多くの専門家の評価を受ける必要もあり、当初より計画が遅れている。平成26年度にも継続して舌苔の評価法の確立を目指していく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究は、舌苔評価方法の確立と舌苔付着のメカニズムを明らかにすることを目的としている。今後の研究推進の方策を以下に示す。 1.撮影後の画像評価方法の確立 - 写真画像による舌苔の評価法を確立していくために、実際に撮影した画像の色調補正等の前処理の後、検査者間でカリブレーションを行い、評価の一致度について検討を行う。 2.画像で評価する舌苔付着と口臭との関連 - 基準化された舌苔撮影方法を用いて継続して舌苔の画像を撮影し、その評価による舌苔付着の状況と口臭測定機器で判定したVSCや官能検査の結果をもとに、口臭との関連を分析する。 3. 視診・触診と画像判定による舌苔付着との関連および舌苔付着と関連する因子の探索 - 舌苔付着の判定について、臨床的な視診・触診等と画像による新しい評価法との関連について検討を行う。また、舌苔付着と関連する要因について分析を行う。 4. 舌苔付着の変動についての分析 - 舌苔付着のメカニズムを明らかにするためには、舌苔量の増減について検討することが必要である。舌苔量の減少がどのような状況で生じるかについても、今後、ヒトを対象に研究を進めていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初購入予定であったi-pad2台、歯科専用デジタルカメラは、i-pad よりも安価なsurface を購入できたこと、デジタルカメラが既存されていたものの調整により購入せずに使用できた。倫理審査の承認に時間がかかったため、ボランティアを対象とした研究は未実施であり、そのためのボランティア、実験補助、研究補助への謝金の使用を行わなかったため費用に余剰がでている。 繰り越された費用の多くは、次年度の研究補助や実験補助に用いる予定である。
|