2015 Fiscal Year Annual Research Report
要介護高齢者の不適切な食事形態と誤嚥性肺炎発症率の関連について
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25862074
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中根 綾子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30431943)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 誤嚥性肺炎 / 要介護高齢者 / 介護保健施設 / VE |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究におけるアンケート調査に置いて、高齢者施設入所者の食事形態は個人の摂食嚥下機能が全く反映されておらず、食事形態の選択においての医学的根拠は皆無だった。また嚥下内視鏡検査(以下VE)結果より、施設入所の約半数以上に食物の誤嚥や咽頭残留がみられることを明らかにした。一方、肺炎は日本の3大死因の一つとなり、中でも高齢者の誤嚥性肺炎との関係が指摘されていることを踏まえ、施設入所の要介護高齢者の不適切な食事形態と誤嚥性肺炎の発症率との関係についてを明らかにすることを研究目的とした。 1.先行研究でVEを実施し、その後の調査協力を得た16件の施設(介護老人福祉施設:(以下特養)6件、介護老人保健施設:(以下老健)10件)に入所している89名(男性39名、女性50名)の要介護高齢者(平均年齢82.1歳±10.0歳、要介護度中央値4)にアンケート(食事形態の変更や肺炎発症について)を郵送し回収を行った。 2.アンケートの回収は10件の施設(特養4件、老健6件)に入所している46名(男性18名、女性26名、平均年齢80.2歳±10.2歳、要介護度中央値4)。 3.46名の追跡調査中に誤嚥性肺炎の診断を受けた者は9名だった。誤嚥性肺炎群9名(男性4名、女性5名、平均年齢81.6歳±7.7歳)のVE結果は咽頭残留3名、喉頭親友3名、誤嚥1名、唾液誤嚥無しであった。誤嚥性肺炎無し群37名(男性14名、女性23名、平均年齢79.1歳±10.9歳)のVE結果は咽頭残留10名、喉頭親友14名、不顕性誤嚥3名、誤嚥2名、唾液誤嚥2名であった。VE結果における各項目と肺炎発症についての統計学的有意差はみられなかった。 以上より、要介護高齢者の誤嚥性肺炎発症には食物誤嚥だけでは説明のできない、他のファクターが絡んでいることが明らかになった。
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