2014 Fiscal Year Research-status Report
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25862078
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
谷口 裕重 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (80529636)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 摂食嚥下障害学 / 咀嚼嚥下 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では咀嚼・嚥下過程における食塊の物性変化と咀嚼・嚥下運動機能,さらに嚥下反射惹起に至るトリガー要素の関係を明らかに することを目的としている.前年度,本年度は健常若年者を対象として,咀嚼・嚥下過程における咀嚼運動と嚥下運動の関係を明らかにすることを目的に,前年度は実験のセットアップと記録開始まで,本年度はさらなる解析と成果発表を行った. セットアップには生体記録として舌骨上筋群,咬筋の表面筋電図,嚥下内視鏡を用いた.8Frの経鼻チューブを口腔より1本挿入し第一大臼歯付近に,鼻 腔より8Frの経鼻チューブを2本挿入し,1本を喉頭蓋谷に,もう1本を梨状窩に留置した.反対の鼻腔より嚥下内視鏡を挿入し咀嚼・嚥下動態を記録した.次に顎顔面運動時にとろみ付液体0.5mlを口腔内,喉頭蓋谷,梨状窩にそれぞれランダムに2回ずつ滴下した.前年度は滴下時の顎顔面運動を安静時,無味無臭のガム咀嚼時(自由咀嚼,自由咀嚼の1.5倍の速さで咀嚼),舌運動時,疑似咀嚼時としていたが,本年度は嚥下を要する食物を使用したグミ,米飯,餅咀嚼運動を追加した. とろみ付液体注入から嚥下反射誘発までの時間を嚥下反射誘発までの潜時として算出し,施行間で比較した.結果,安静時・ガム咀嚼時には口腔内注入時の潜時と比較して中咽頭,下咽頭の順に潜時が短縮したのに対して,1.5倍咀嚼時には中咽頭と下咽頭の潜時に差がみられなかった.咀嚼を要する食物では滴下部位での潜時に違いはみられなかった.筋電図記録は安静時・ガム咀嚼時(自由,1.5倍)と比較して咀嚼を要する食物を嚥下した際の筋活動時間が延長していた. 本研究によって咀嚼運動によって嚥下反射誘発のタイミングが変調することが示唆された.次年度は,嚥下を要する食物での記録をさらに解析し,咀嚼過程を経た後に至る嚥下反射惹起直前に食塊がどのような移送を示すのか検索する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度,本年度に得られたデータを日本老年歯科医学会第25回大会,第20回日本摂食嚥下リハビリテーション学会学術大会にて発表した.咀嚼嚥下時の筋活動に関して,共著者としてDysphagiaへ論文投稿した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は健常被験者のデータを増やすとともに,European Society for Swallowing Disordersでの成果発表,国際誌への論文投稿を予定している. さらに,65歳以上の高齢者を対象として,同様に咀嚼・嚥下動態を計測する.高齢者の問題点として,実験時に験者が与える多くの指示理解が困難であることが考えられるが,本研究では,あくまで自由咀嚼・嚥下を対象とした 実験を行うため,記録に際して問題はないと思われる. 記録装置のセッティング,被検食の選定,記録は平成26年度と同様とする.解析も平成26年度と同様に進めていくが,解析により若年者と同様に嚥下までの潜時が年齢による違いが認められるかどうかを明らかにする.
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Causes of Carryover |
当該助成金は本年度末の物品費,論文別刷代として使用を予定していたが,納品に時間を要したため次年度支払いとした.また,論文投稿は次年度に行うこととした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度末に予定していた物品納品,国際誌への投稿は次年度に遂行する.
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Research Products
(3 results)