2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災の被災看護師を対象としたメンタルヘルスについての縦断追跡研究
Project/Area Number |
25862101
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
高橋 葉子 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (20625016)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 看護学 / ストレス / 自然災害 |
Research Abstract |
本研究は、東日本大震災において被災した看護師を対象としたメンタルヘルスの縦断的調査である。東日本大震災から約1年後の時点で収集した横断調査(高橋葉子:平成24年度科学研究費補助金、挑戦的萌芽研究)を縦断調査に発展させ、震災から2年後と3年後の時点で、震災当時宮城県沿岸部の病院に勤務していた看護師(震災後病院の被災で職場変更している者も含む)のメンタルヘルスの実態を明らかにすることを目的とする。 平成25年度は、震災から約2年半後の時点で、平成24年度にメンタルヘルス調査を行った看護師437名に対して、質問紙調査を実施した。主な質問項目としては、基本属性、個人的被災の程度、震災時の体験、PTSD症状を測定するPCL日本語版、うつ病症状を測定するPHQ-9日本語版、職業性ストレス簡易調査票とした。 その結果、被災地看護師全体の傾向としては、PTSD症状に関しては、平均値およびハイリスク者の割合は下がっている傾向にあった。しかし、うつ病症状に関しては横ばいであった。また、縦断でみると、ハイリスクのまま経過している者、新たにハイリスクとなる者が存在することが明らかになった。 さらに、職場が津波被害で全壊した看護師の方が、職場が津波被害を受けなかった看護師に比べて、長期にわたって心理的影響を受けていることがうかがわれた。現在、精神的健康度に影響している要因を分析中である。 以上の調査結果に関しては、被災地の看護管理者にフィードバックを行い、メンタルヘルス対策についての話し合いをもった。また、途中経過を2014年度の学会で報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、東日本大震災から約1年後時点の横断調査と同じ対象者に対し、震災から2年半後のデータを取得することができた。そのことによって、PTSD症状および抑うつ症状の継時的変化およびハイリスク者の変化を明らかにすることができた。 その結果、震災から2年間の被災地看護師のメンタルヘルスの動向が明らかになった。被災地看護師全体の傾向としては、PTSD症状に関しては、平均値およびハイリスク者の割合は下がっている傾向にあった。しかし、うつ病症状に関しては横ばいであった。また、縦断でみると、ハイリスクのまま経過している者、新たにハイリスクとなる者が存在することが明らかになった。さらに、職場が津波被害で全壊した看護師の方が、職場が津波被害を受けなかった看護師に比べて、長期にわたって心理的影響を受けていることがうかがわれた。 以上の結果を受けて、被災地の病院組織への継続的なメンタルヘルス支援を行っている。また、今後の災害時のための支援者支援システムを検討する上でも貴重なデータを得ることができたと考えられる。本研究は、調査結果を現場に還元するとともに、将来的な災害対策にも活かしていくという、非常に意義のあるものになっていると考えられる。 なお、対象組織の意向により、質問紙調査の時期が10月~12月になった。そのことにより、予定では平成25年度にインタビュー調査も行う予定であったが、平成26年度に持ち越された。しかし、インタビュー時期がずれても研究全体には大きく影響しないと考えられるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、震災から約3年後時点における被災地看護師のメンタルヘルスの実態を明らかにし、震災から3年間の縦断調査をまとめることとする。 方法としては、過去2回の調査と同じ対象者に質問紙調査を行う。主な尺度は今まで同様、PTSD症状を測定するPCL日本語版、うつ病症状を測定するPHQ-9日本語版、職業性ストレス簡易調査票を考えている。加えて、第1回目と第2回目のデータ解析を進め、その結果により、独立変数として加えるべき項目を検討する予定である。 また、平成25年度に実行予定であったインタビュー調査を平成26年度に実施する。その上で、量的データと質的データを組み合わせた多角的な分析を行い、総合的な解釈を実施する予定である。 なお、得られた結果については、この領域の最新の情報を得たうえで分析と解釈を行い、関係する学会などを通して公表する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にインタビュー調査を行い、テープ起こしで謝金が発生する予定だったが、インタビュー調査が次年度に変更になったため。 平成26年度にインタビュー調査を行い、テープ起こしの謝金として使用する予定である。
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