2013 Fiscal Year Research-status Report
看護技術とフィジカルアセスメントに関するシナリオトレーニングシステムの開発
Project/Area Number |
25862108
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐伯 街子 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60610756)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シミュレーション教育 / フィジカルアセスメント / 看護技術 |
Research Abstract |
本研究では看護師の臨床場面での実践力と自信の向上を目指し、看護学生の段階から実際の臨床場面で起こりそうなストーリー上で看護技術とフィジカルアセスメントを学習するためのシミュレーショントレーニング教材の作成を目的としている。今年度の研究実績は、①対象者である看護学生の現状の把握、②シナリオの作成、③Learning Management System(LMS)の整備、④シナリオを用いたシミュレーショントレーニングの実施とその形成的評価があげられる。①では、教材内で使用される専門用語等の言語情報についての理解度の確認を行った。②では、「乳がん患者の患者情報を把握する」というシナリオを作成し、その妥当性と合理性について看護領域の専門家と看護学生の双方より意見を得た。③では、LMSとしてオープンソースであり国内外の多くの教育機関で利用されているMoodleを用いた。Mooldeを用いることで導入コスト(物品費及び人件費等)を抑えることが可能となっただけでなく、今後トレーニングシステムを普及する際に他施設で使用しやすいコンテンツを作成しやすくなると考えたからである。④では、シミュレーショントレーニング実施に向けて、まず②で作成したシナリオをLMSに載せ、シミュレーショントレーニングで実施する内容の事前学習、トレーニングのチェックリストの提供、事後学習などができるようにした。事前学習と事後学習の比較やシミュレーショントレーニング後のアンケートを分析すると、シミュレーショントレーニングにより事後学習結果の得点変化量は上昇しており、アンケートではトレーニングに対する満足感だけでなく、臨床場面の実施内容をイメージできたなどの意見も見られた。目標としていた自信の向上という点では、今後改善が必要なポイントが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の到達目標は①対象者の現状把握、②シナリオ案作成、③予備実験、④シミュレーターとシナリオの連動システムの作成であった。「研究実績の概要」でお示ししたとおり、①~③は実施している。④に関してはシミュレーターに残るログをMoodleに転送またはMoodleと連動することが、シミュレーターのシステム上難しいことから、学習者がシミュレーターに対し実施した内容をMoodle内に設置したチェックリストを用いて記録する方法等試していく必要がある。次年度以降の計画内容であった、LMSの整備やモバイル端末対応のアプリケーションの作成については、Moodleを使用することで実施できている。 臨床場面を模したストーリー性のあるシナリオを用いることで、「より実践に近い状況を想定しながら学習する」という目的は達成できていると考える。しかし、「シミュレーターがなくてもシミュレーショントレーニングが可能になるシステムの作成」という目的を達成するための工夫を残りの年限で考案する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策でポイントとなるのは「シミュレーターがない場合にシミュレーションをどのように実施するか」である。シミュレーターがない場合のシミュレーショントレーニングの方法として、メンタルシミュレーションがある。メンタルシミュレーションは個人学習になるので作成したい教材のコンセプトに合致している。e-learning画面上でメンタルシミュレーションを行うためには、シミュレーターの動画もしくは模擬患者の動画等を用いる動画教材と文字情報で患者のシナリオが構成されているPaper Patient教材が考えられる。動画コンテンツは製作コストが大きいこと、Paper Patient教材では内容の臨場感が伝わりにくい可能性があることなど、双方に利点欠点が考えられるため、それぞれの教材の比較検討を行いながら、より効果的・効率的・魅力的な教材作成と形成的評価を準じ実施していく予定である。 「現在までの達成度」でお示ししたシミュレーターのログ情報をMoodleに取り込む仕組みについても継続して検討していく予定である。 研究成果については今年度できていない論文作成を実施できるようにしたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度内に進捗状況に合わせて論文等を作成し報告をしたいと考えていたが、現在データの整理に時間がかかっている。そのため、英文校正等論文作成時の費用が支出できていない状況である。 次年度使用額に関しては、2014年8月に学会発表予定のデータ等を踏まえ、本年度の予定通り、英語論文作成時の校正費用として使用する。
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