2015 Fiscal Year Research-status Report
臨床看護師の職場におけるソーシャル・キャピタルと健康に関する研究
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25862131
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
乗越 健輔 広島国際大学, 看護学部, 助教 (40638722)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臨床看護師 / 職場のソーシャル・キャピタル / 質的研究 / KJ法 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度に実施した臨床看護師の職場におけるソーシャル・キャピタルに関する個人面接調査において、尺度原案を作成するために、対象者の語りを質的帰納的に分析したが、より多角的にソーシャル・キャピタルを抽出する必要性が生じたため、KJ法を用いて再度分析を行った。 まず、逐語記録から職場のソーシャル・キャピタルに関係がありそうな内容を、適切に単位化・圧縮化して133枚のラベルを得た。次に、それら133枚に対して多段ピックアップ(個々のデータの価値を積極的に生かして最善の結果を得るために、多量のラベルを精選するための方法)を行い、45枚のラベルを精選した。最後に、それら45枚を用いてKJ法を行った結果、1) 感謝の交換、2) とらわれない情報共有、3) 信頼する力、4) 強みへのアクセス、5) 利他的互恵性、6)愛情の眼差し、という6つのグループに統合された。 臨床現場において、看護師の協調行動を高めるために、看護師は他者に感謝を伝える(感謝の交換)、立場や職種の枠を越えた領域横断的な情報共有(とらわれない情報共有)、他者を信頼する(信頼する力)、他者の持つ情報・知識・技術の活用(強みへのアクセス)、他者の有益性を第一に考えた助け合い(利他的互恵性)といった行動を意識的に駆使する能力が必要である、と認識していた。また、それと同時に、他者の自身に対する肯定的な視線(愛情の眼差し)によって安心感や親密性を持つことができるといった、無意識の肯定的感触の知覚も重要である、と認識していた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度に実施した臨床看護師の職場におけるソーシャル・キャピタルに関する個人面接調査において、対象者の語りを質的帰納的に分析したが、より多角的にソーシャル・キャピタルを抽出する必要性が生じたため、KJ法を用いて再度分析を行った。そのため、想定以上に時間を要し、平成27年度に予定してた質問紙調査の実施に至らず、次年度に持ち越すことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、平成27年度に実施したKJ法による質的研究の結果をもとに尺度原案を作成する。次に、内容的妥当性を検証するために、病院に勤務する看護師、看護管理学領域の研究者などを対象に、尺度原案の適切性に関する質問紙調査を実施し、尺度原案の修正版を作成する。最後に、修正版の信頼性(内的整合性・安定性)・基準関連妥当性・構成概念妥当性を検証するために、病院に勤務する看護師を対象に修正版を使用した質問紙調査を実施する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施した臨床看護師の職場におけるソーシャル・キャピタルに関する個人面接調査において、対象者の語りを質的帰納的に分析したが、より多角的にソーシャル・キャピタルを抽出する必要性が生じたため、KJ法を用いて再度分析を行った。その結果、想定以上の時間を要し、平成27年度に予定していた質問紙調査の実施に至らなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に実施を予定している質問紙調査のデータ処理、および学術論文作成における英文校正に未使用額の研究費を充てる予定である。
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