2014 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病患者の動脈硬化症による血流障害予防のためのケアモデルの開発
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25862159
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
片岡 千明(近藤千明) 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (40336839)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 慢性病看護 / 糖尿病 / 末梢動脈疾患 / フットケア |
Outline of Annual Research Achievements |
下肢末梢動脈疾患(PAD)は、動脈硬化が進行し下肢に虚血症状が出現する疾患である。糖尿病者では、PADを発症する頻度が高く、下肢切断にいたる患者も多くその予防が重要な課題となっている。 本研究の目的は、「糖尿病患者の動脈硬化症による血流障害予防のためのケアモデル」を開発し、ケアモデルの有用性を検討することである。 研究課題①平成25年度に、「糖尿病患者の動脈硬化症による血流障害予防のためのケアモデル」の介入プロトコールの作成のために、地域住民を対象とした健康相談の場において、ケア介入を行い、フットケアを手ががりとした本ケアモデルを完成させた。 研究課題②平成26年度は、作成したプロトコールに基づいた実践的介入を行い、糖尿病患者がフットケアを手がかりとした介入によって、下肢の血流障害を理解できるか検討した。 具体的には、まちの保健室に来室された糖尿病治療中の方を対象に、フットケアを手がかりとした介入を行った。その結果、糖尿病治療中であった対象者3名全員が、高血圧や脂質異常症を併発しており、動脈硬化症のハイリスク者であった。また、3名全員が足に胼胝や白癬、外反母趾などのトラブルを抱えていた。そのため看護師が一緒に足を見たり、手入れをするフットケアを行ったことで、対象者に身体の状態や手入れに興味を示す反応がみられた。対象者のケア場面の反応を分析した結果、[自分の身体を意識する]、[生活状況を語る]、[取り入れる対処を決意する]の3つのカテゴリーが抽出された。これらのことから、糖尿病患者を対象とした「フットケアを用いた動脈硬化症を予防するためのケアモデル」は、自分の足や体、生活について語るきっかけとなり、動脈硬化症の予防につなげられる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究計画では、平成26年度には、10名程度の糖尿病患者を対象に、作成した「フットケアを用いた動脈硬化症を予防するためのケアモデル」の実践的介入を行い、その介入効果を質的に検討することを予定していたが、介入できた対象者が3名と少なかった。 対象者が少なくなった理由として、介入者が研究者1人であったこと、データ収集場所が地域住民が参加するまちの保健室の場であったことから、糖尿病治療中の対象者を選定することが困難であったことが考えられた。今後は、データ収集先を糖尿病専門医がいる病院に変更しデータ収集を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、糖尿病患者を対象に、作成した「フットケアを用いた動脈硬化症を予防するためのケアモデル」の実践的介入を行い、その効果を量的に検証する。 方法は、糖尿病専門医がいる病院に通院する糖尿病患者20名に作成したケアモデルを実施し、その効果を身体指標(体重、HbA1c、HDLコレステロール、血圧)の変化をもとに分析していく、また、介入前後のセルフケア能力、セルフケア行動の変化を噴石する。動脈硬化が起こりやすい身体への理解については、対象者の語りをもとにテキストマイニングを用いて分析を行っていく。介入は1ヶ月~2ヶ月ごとにに計5回を予定しており、介入終了後6ヶ月間の経過をデータ収集し、介入の効果を検証していく予定である。
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Causes of Carryover |
今年度予算のうちの90%を使用し、作成したケアモデルの効果を質的に検討する研究をすすめた。 データ収集対象者が、計画より少なくなり、音声データを逐語録とするためのテープおこし費用が残金として生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、ケアモデルの評価指標を検討し、実践的介入によるケアモデルの効果検証を行うことを研究課題としている。データ収集施設への依頼、交渉を行い、20名の対象者への実践的介入を開始する予定としている。 予算は、実践的介入に必要なケア物品の購入、データ収集のための旅費、成果発表のための旅費、報告書作成費用として執行予定である。
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