2013 Fiscal Year Research-status Report
急性期病院から在宅移行する終末期がん患者の生活を支援する看護実践プログラムの開発
Project/Area Number |
25862170
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
井上 菜穂美 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 助教 (00454306)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 終末期がん患者 / 退院支援 / 退院調整 / 急性期病院 |
Research Abstract |
本研究は、終末期がん患者の在宅における日常生活支援に焦点を当て、急性期病院から在宅移行する終末期がん患者の安寧な療養生活を支援する看護実践プログラムを開発することである。本研究の具体的な目的は、1.急性期病院における終末期がん患者の退院支援を行う上での看護援助内容と課題を明らかにすること、2.急性期病院から在宅移行する終末期がん患者の日常生活に着目した看護実践プログラムを作成すること、3.看護実践プログラムの有用性を検証すること、である。 平成25年度は、終末期がん患者の退院支援における看護援助の内容、看護師が抱える困難と課題を明らかにする目的で、急性期病棟で終末期がん患者の退院調整に携わる看護師13名を対象に、研究者が作成した質問紙を用いて半構成的面接を行った。分析の結果、退院支援における看護援助内容は、(1)安楽に在宅療養生活を送るための看護援助、(2)安心して在宅療養生活を送るための看護援助、(3)安全に在宅療養生活を送るための看護援助、の3つに分類された。また、退院支援における看護師の困難と課題は、(1)医療者の要因による困難・課題、(2)患者・家族の要因による困難・課題、(3)介護・医療制度の問題による困難・課題、の3つに分類された。結果及び考察から、終末期がん患者が可能な限り自立した生活を送るために必要な患者・家族に対する支援の充実に向けて、患者の個別性・生活に合わせた症状マネジメントや社会資源の活用に関する情報提供ツールの作成、退院後も継続して患者・家族が活用できる相談システムの開発などの必要性が示唆された。 今後は、退院調整に関する多職種カンファレンスの参加観察を行うことによって、急性期病院の現状に即した看護実践プログラムに必要な要素を検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書における研究計画と提示したスケジュールでは、平成25年度に遂行すべき課題とした項目は、急性期病院の終末期がん患者の退院支援における看護援助の内容と課題を明らかにすること(現状調査の実施)である。研究協力機関における看護師を対象とした半構成的面接を実施し、前述の通り看護援助の内容と課題についての研究成果を納めた。従って、研究計画は概ね順調に遂行していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画は順調に遂行されている。今後は平成26年度の研究計画に従い、退院調整に関する多職種カンファレンス場面を参加観察することによって、急性期病院の現状に即した看護実践プログラムの内容を検討する予定である。また、研究成果を専門学会で発表しピアレビューを受けることにより、さらにプログラム内容を精選していきたいと考えている。 さらに、25年度の成果から、患者・家族が退院後も容易にアクセスできる相談システムの開発の必要性が見出された。そのため、急性期病院から在宅移行する終末期がん患者の安寧な生活を支援するための看護実践プログラムに必要な要素として、インターネットを活用した相談システムの構築の実現性について検討していきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、研究開始時に研究用パソコン破損のため、急きょ購入を必要とした。そのため、面接内容のテープ起こしの経費を業者見積額で計上していたが、研究者自身による作業量を増やすとともに、アルバイトの協力を得ることによって経費の節減に努めた。また、近隣の研究協力機関で十分な対象者を得られたことから、旅費を削減することができた。これらによって研究用パソコンを購入しかつ繰越金が発生することになった。 平成26年度は、25年度研究成果から、患者・家族が自宅から容易にアクセスできるインターネットを活用した相談システムの構築について検討するために、情報工学の専門家から、情報セキュリティやサーバー管理、システム開発に関してアドバイスを得る予定である。当初計画よりも謝金と旅費を必要とすることが見込まれることから、計画を修正し25年度繰り越し分は特に26年度の旅費と謝金に充当して予算を執行する計画である。
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