2015 Fiscal Year Research-status Report
ドメスティック・バイオレンス被害女性の育児における困難感と回復を促す支援
Project/Area Number |
25862179
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
藤田 景子 金沢大学, 保健学系, 助教 (60587418)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ドメスティック・バイオレンス / 被害者 / 子ども / 女性 / 子育て / 回復 / 支援 / 医療関係者 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、加害者と同居中および別居後のDV被害女性の育児に関する現状や困難感及びニーズを明らかにし、DV被害を受けた女性や子どもの回復を促す支援システムの構築について検討することを目的とするものである。本年度は、昨年度、過去にDV被害を受けた経験があり、現在は加害者から離れ子育てをしている女性を対象に、DV被害女性の育児の困難感及びニーズや子どもへの影響を明確にするという目標のもと行ったインタビュー調査に基づき、DV被害女性の育児の特徴を明確にすることであった。インタビュー調査において、加害者と同居中および別居後の其々の時期によって、DV被害を受けた母親の困難な内容やニーズは異なっていることが明らかになった。また、子どもへのDVの影響についても、同居中と別居後では、影響の現れ方が異なり、各々の時期によってニーズが異なることが明らかになった。いずれにしても、DVによる女性や子どもへの心身の健康や生活へ甚大な影響を受け、それがもとで子育て困難な状況が生じていた。本年度、昨年度のインタビュー調査を基により具体的な内容を明確にするために追加インタビューを実施した。それをまとめ、調査結果およびさらに文献検討を重ね、DV被害女性の育児の特徴や、同居中および別居後の女性や子どもの心身の健康への影響も項目として抽出し、質問紙を作成し、DVや子育ての専門家に質問紙の妥当性を検証した。それと同時に、質問紙調査のデータ収集場所として、過去にDV被害を受けた子育て期の母親へアプローチできる場所や、対照群となる、幼稚園や保育園等にアプローチし、フィールド開拓を行い、質問紙調査の準備を進めた。本年度は、早々に質問紙調査を実施し、結果をまとめていく。さらに、本研究の結果を基に医療関係者のDV被害者支援に関する実践能力に関する質問紙調査も計画し、実施していく。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
インタビューデータを分析している際、聞き取れていない部分を感じ、インタビューへの協力者に対し追加調査を行ったため時間を要した。その後はインタビュー調査実施を完了し、分析、論文作成に至っている。本年度の予定は、インタビュー調査で得られた結果を基に質問紙作成を行う予定であったが、追加研究により本年度予定の研究への取り組みを開始する時期がやや遅れた。現在は、子育てやDVに関する専門家を対象に質問紙の妥当性を検討し修正を行っているため、今後、質問紙の調査依頼を行っていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
DV被害を受けた母親およびDV被害を受けていない一般の母親の子育て困難時のストレス対処方法の違いや、子育て期のDV被害を受けた母子の心身の健康状態を質問紙を用いてデータ収集し、分析を行っていく。さらに、本年度の実施予定である、DV被害者支援の専門家や医療者を対象に、インタビュー調査で得た結果を踏まえて、周産期及び子育て期のDV被害者支援に必要な実践力に関する項目を抽出、検討し、調査を進めていく予定である。現時点で、研究計画の変更は生じていない。本年度は本調査の最終年であり、総まとめになるよう、ピッチを上げて研究に取り組んでいきたい。
|
Research Products
(3 results)