2013 Fiscal Year Research-status Report
妊婦の蓄積性化学物質曝露による分娩および新生児の健康影響の解明
Project/Area Number |
25862205
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
西岡 笑子 神戸大学, 保健学研究科, 准教授 (70550797)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉛 / 妊娠 / 分娩 / 新生児 |
Research Abstract |
【背景・目的】鉛を初めとする母体の有害元素の低濃度暴露による胎児への毒性影響が懸念されている。現在のCDCのガイドラインによると、出産年齢にある女性とその子どもの血中鉛濃度は5μg/dl以下を推奨している。本研究の主な目的は、5μg/dl未満の出生前の血中鉛濃度と出生体重との関連を明からにすることである。また、性差による相違も考慮し、妊婦の血中鉛濃度と出生体重との関連を明らにすることを目的とした。 【方法】病院産科外来を受診した妊娠初期の妊婦に対し、調査概要を口頭および書面を用いて説明し書面による同意を得た。対象者には、基本属性および生活習慣に関する自記式質問紙調査を行うとともに、妊娠12週、25週、36週の母体血の採取を行った。微量元素の測定は、酸分解ののち誘導結合プラズマ質量分析計により行った。本研究は、所属機関倫理委員会の承認後に実施した。 【結果】妊娠12週、25週、36週の全ての時期の採血を行うことができた386名を対象とし分析を行った。対象者の平均年齢は34.5 ± 4.8歳、平均在胎週数は38.9 ± 1.3週、出生した児の平均出生体重は3125.5± 362.9g、性別は男児197名、女児189名であった。妊娠12週、25週、36週の血中鉛濃度はそれぞれ0.98±0.55(0.09 -3.99)、0.92±0.63(0.09 -3.96)および0.99±0.66(0.09-3.96)μg/dlであった。男児においてのみ、妊娠12週のlogBPbと出生体重との有意な相関がみられた(rs=-0.145、p<0.05)。重回帰分析の結果においても、交絡因子を調整後も妊娠12週のlogBPbと出生体重との有意な関連がみられた。 【結論】妊娠初期の鉛の低濃度曝露が男児の出産時体重低下に関連していた。妊娠中の血中鉛濃度の安全を評価することは困難である。出産可能年齢にある女性は、鉛の曝露から避けるべきである。出生体重には多様な側面があるため、更なる疫学研究、臨床研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、妊娠初期のリクルート時から産後1か月まで約10か月間にわたる縦断調査であった。前課題(平成23-24年度)において、300名のリクルートを実施していた。本課題において調査を継続して行い、2013年度中に約500名の縦断調査を実現することができた。収集した検体、調査票の集計については、随時分析を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は鉛以外の有害微量元素と分娩アウトカムについても検討を行い、論文投稿を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究者の所属機関変更に伴い、物品購入等が計画的にできなかった。 来年度は計画的に物品購入を行う。
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