2013 Fiscal Year Research-status Report
就学を終えた重度脳性麻痺児・者を抱えた家族の発達課題―父親が認識する家族の変化―
Project/Area Number |
25862213
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
大村 政生 中部大学, 看護実習センター, 助手 (80586842)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 家族発達課題 / 重度脳性麻痺児・者 / 青年期 / 父親 |
Research Abstract |
本研究の目的は就学を終えた重度脳性麻痺児・者を抱える家族の発達課題を明らかにし、さらに、その家族の発達課題の発達課題に影響を与えた要因について父親の視点から明らかにすることであり、家族発達に即した看護支援の手掛かり得ることである。 青年期の重度脳性麻痺児・者をもつ母親が認識する家族の発達課題とその要因に関する先行研究において、【地域・社会とつながり続けること】という家族の発達課題は【子どもの健康の維持】という発達課題に影響を受けていた。さらに【地域・社会とつながり続けること】と【子どもの健康の維持】という家族の発達課題が達成に向かうことで、【今を笑って過ごすこと】という家族の発達課題も認識されるようになり、家族の発達課題の達成へと向かっていた。また、母親の負担が増大しながらも【子どもの健康の維持】をすることで、一般的なこの時期の家族の発達課題である【家族のライフイベントの危機を凌ぐこと】という家族の発達課題を乗り越えようとしていた。また、家族の発達課題の達成に影響を与えた5つの要因は【家族内での支援】、【情報のアクセシビリティ】、【ソーシャルサポート】、【親の健康】、【自己解決力】であった。これらの要因がどの発達課題の達成に影響を与えたかは事例毎に異なるが、それぞれの発達課題の達成に影響を与えた要因が充足されていれば、家族の発達課題は達成に向かい、充足されていなければ家族の発達的危機に陥ってしまうという関係が示された。 また、重症心身障害児・者をもつ父親に関する文献検討において、父親は母親の盾となり、母親の負担を軽減するために責任を調整して、母親を支える存在になっていた。また、子どものきょうだいも大切にし、子どもの養育としごろを調整するなど家族成員全体の調整と社会との調整をしていた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度に先行研究である青年期の重度脳性麻痺児・者をもつ母親への研究の学会発表を行い、重度脳性麻痺児・者をもつ母親に関する新たな知見を得た。現在、先行研究の論文投稿の準備中であり、次年度に投稿を予定している。本研究目的である重度脳性麻痺児・者をもつ父親を対象とした研究においては、先行研究の文献検討及び関係学会の学術集会や勉強会に参加し、各発達段階の重度脳性麻痺児・者をもつ父親の抱える問題を検討した。その文献検討を基に研究計画書の再検討を行い、関係機関での倫理審査の申請を行い、許可を得た。現在、データ収集中であり、今後、研究データの分析を行い、結果を公表する。 対象者となる研究参加者を研究協力施設とともに対象者へ依頼しているが、限定されており条件にあう対象者への研究協力が十分に得られていない。現在も、研究協力を依頼している最中であり、今後研究参加者を増やしていく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後、5名の父親から個人属性に関する事前調査と自作の面接ガイドを用いた半構成面接を行う。面接は参加者の許可を得てICレコーダーに録音する。録音データを外部にて逐語録を作成し、その逐語録からできる限り研究参加者の言葉を用いて、出来事毎のコード化を行い、次にそれぞれのコードの相違点・共通点について比較することによって分類し、概念の抽象度を上げるサブカテゴリー・カテゴリー化を行う。そして、カテゴリーの関連を考えながら、構造図を作成し、分析結果のケースを比較・対照し、テーマ、パターンや規則正しさ(規則性)に注目して、それを探求することで結論を引き出し、実証する。それぞれのカテゴリーの意味について文献を用いながら考察を行う。これらの分析内容の厳密性を確保するためにメンバーチェッキングを行い、専門家のスーパービジョンを受けるとともに数名の研究者によるディスカッションを行う。 この研究結果をもとに重度脳性麻痺児・者をもつ父親に必要な看護支援を検討し、重症心身障害児・者をもつ父親の会等にて、支援を行っていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究の進捗に重要であった勉強会が担当者の都合により中止となり、他の勉強会で代替できる時期ではなったため、経費の余剰金が発生した。そのため、本年度に繰り越し、改めて勉強会に参加する予定である。本年度購入予定であった動画撮影機器については、研究成果の伝達に至らなかったため本年度はデータ収集時に研究参加者への倫理的配慮に必要なポータブル吸引器等の物品購入に置き換えた。次年度に研究対象者への研究成果報告を実施し、その際の記録媒体機器を購入していく。 4月にディスクトップパソコン1台を購入。8月に研究に関する情報収集にて岡山にて開催される第21回日本家族看護学会学術集会にて情報収集及び分析方法に関する意見交換を行う。9月以降に研究データの分析及び、研究結果の成果報告書を作成し公表する。さらに研究成果を重度脳性麻痺児・者をもつ父親の会を通して伝達し、その中で家族が抱える看護上の問題について更なる情報収集を行い、今度の研究課題を検討する。
|