2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25862217
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
坂川 奈央 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助手 (80635566)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 認知症高齢者 / 尿失禁 / 行動療法 / 排尿習慣化訓練 |
Research Abstract |
尿失禁の行動療法には、時間排尿誘導、排尿習慣化訓練、排尿自覚刺激行動療法の3つが報告され、我が国の高齢者施設においては、認知症高齢者を対象として、排尿習慣化訓練が多く用いられている。しかしその方法に統一されたものはなく、現場では効果的に行われているとは言い難い。また、高齢者は加齢に伴って夜間頻尿、尿勢低下、残尿感、膀胱痛、尿意切迫感が増加する。更に認知症高齢者の場合は、脳の器質的変化による中枢神経障害から神経因性膀胱に至り、過活動膀胱となることが多い。このようなリスクがあるにもかかわらず、認知症高齢者の尿失禁の原因は、認知機能の低下とみなされ、排尿機能の評価が十分になされていない。原因検索することなく行動療法を取り入れるため、十分な効果を発揮できず、ケア提供者の疲弊を誘発している。 そこで、効果的な排尿習慣化訓練を遂行するために、適応基準を明らかにし、排尿機能の評価を含めた排尿習慣かっ訓練の標準プロトコールの開発を目指し研究を進めている。 平成25年度は調査研究遂行に関する情報収集と研究計画の推敲、及び研究対象施設との調査交渉を行った。個の尊重を重視する認知症高齢者を対象等する研究であり、且つ排泄という羞恥心に関わる内容であるため、対象条件の設定や、環境、関わるスタッフの調整を十分に行うことが必要であり、困難を極めている。 一方、研究にかかる内容として、排尿誘導ガイドラインの作成を行っている。他大学の研究者と共にディスカッションを交え、ガイドライン内容の吟味、修正を行い、作成の最終段階に入っている。同様に、排尿ケアマネジメントマニュアルの作成がある。高齢者施設のスタッフを対象とした研修会で、認知症に関する情報と排尿ケアマネジメントの方法の情報提供を行い、教育的指導を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高齢者の認知機能と認知症の症状に個別性が高く、対象条件の設定や、環境、関わるスタッフの調整を慎重に行っている。認知機能の低下や中核症状の出現を、全ての対象で評価ができるかどうか、調査後の解析に耐えうるかを十分に練る必要性があり、それらに時間を要した。
|
Strategy for Future Research Activity |
認知症高齢者が出来うる限り自立して排泄動作を遂行できるような環境調整や、排尿動作支援方法を明確にする必要がある。そこで、排尿機能のみならず、生活機能、排泄状況のアセスメント、排泄動作遂行にあたる認知状況のアセスメントを行う排尿ケアマネジメントを盛り込んだ介入を実施する。介入から得られたデータの分析から、更なる詳細な適応基準とプロトコールの修正を加え、妥当性の検討を行っていく。 平成26年度は現在作成されたプロトコールの素案を基に、実際に排尿習慣化訓練の介入を行って適応を見出していく。調査対象施設は認知機能高齢者が入所する高齢者施設で、調査対象は排泄に介助を要する認知症高齢者を抽出する。更に、一次スクリーニングとして排尿機能を評価し、行動療法の対象となる高齢者を抽出する。これまでの先行研究をもとに、継続して排尿習慣化訓練の実践が可能と考えられる基準を設けて対象を絞り、データ収集を進めていく。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
調査を遂行する上で排尿機能を判断するために必要とされる残尿測定器の未購入 平成26年度予算を併せ、残尿測定器及び翻訳ソフトの購入を予定している。
|