2014 Fiscal Year Research-status Report
病院と在宅間のシームレスケアに役立つ終末期がん患者のライフタイム予測指標の開発
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25862226
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
熊谷 有記 佐賀大学, 医学部, 助教 (10382433)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 終末期 / ライフタイム / シームレスケア |
Outline of Annual Research Achievements |
終末期がん患者の生活の質を高めるには,病院からの退院調整時と入院調整時における継ぎ目のないシームレスケアが不可欠である。本研究では,病院と在宅間のシームレスケアに役立つ終末期がん患者に残された時間(ライフタイム)の予測指標開発を目的とする。 本年度は,昨年度に引き続き在宅療養患者の終末期がん患者のライフタイム予測項目を明らかにするために,数か所の訪問看護ステーションに新たに協力を依頼した。そして,同意の得られた肺がん患者9名・消化器がん患者7名について,最期の約2週間前(死亡前11~14日),最期の7日前後(死亡前4~10日),最期の3日間(死亡前1~3日)に生じた徴候の出現状況を調べた。とくに,訪問看護師間の判断に差が少ないバイタルサインと意識レベルに焦点を当てて検討した。その結果,「SpO2≦92%」は肺がん患者の最期の7日前後および3日間にいずれも約70%,消化器がん患者の最期の7日前後および3日間にそれぞれ約57%,約71%みられた。意識レベルの「声かけに反応しない」および「昏睡」は肺がん患者の最期の3日間にそれぞれ約67%,約56%みられた。また「呼吸回数≧30」は肺がん患者の最期の7日前後と3日間にいずれも約56%みられた。一方,消化器がん患者では「声かけに反応しない」と「呼吸回数≧30」は最期の3日間でそれぞれ約25%,0%であった。「脈拍≧100」は最期の約2週間前から肺がんと消化器がん患者の63%以上みられた。 以上のことから,「SpO2≦92%」は肺がんと消化器がん患者の最期の7日前後のライフタイム予測項目になり得る可能性が示唆される。また,「声かけに反応しない」と「昏睡」は肺がん患者の最期の3日間の,「呼吸回数≧30」は肺がん患者の最期の7日前後のライフタイム予測項目になり得る可能性が示唆される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
現段階では研究協力施設数が少ないことに加え,患者と家族から同意を得ることが極めて難しいため
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Strategy for Future Research Activity |
対象者数を増やすために,研究協力施設(訪問看護ステーションおよび病院)の拡大を図る。また消化器がんの種類を胃がんと大腸がんのみとしているが,他の消化器がん患者も対象とすることを検討する。
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Causes of Carryover |
現段階では研究協力施設数が少ないことに加え,患者と家族から同意を得ることが極めて難しいため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在,新に研究協力を依頼している訪問看護ステーションおよび病院からの協力が得られ次第,調査を進めていく予定である。そのため,協力施設の拡大や対象者数増加に伴って増加する交通費・宿泊費・人件費に平成26年度の余剰研究費を使用する予定である。
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