2016 Fiscal Year Research-status Report
病院と在宅間のシームレスケアに役立つ終末期がん患者のライフタイム予測指標の開発
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25862226
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
熊谷 有記 佐賀大学, 医学部, 准教授 (10382433)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 終末期 / ライフタイム / シームレスケア |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も昨年度に引き続き,在宅で療養している終末期がん患者のライフタイムの予測項目を明らかにするために,訪問看護記録286件をもとに意識レベルとバイタルサインに焦点を当てて検討した。また,意識レベルと鎮静剤との関係についても検討した。 バイタルサインに関しては,「SpO2≦92%」が最期の7日前後(死亡前4~10日)および3日以内(死亡前1~3日)の肺がん患者9名にいずれも約67%,消化器がん患者15名に約46%,約53%みられた。「収縮期血圧<100mmHg」が最期の7日前後および3日以内の肺がん患者に約56%,約33%,消化器がん患者に約39%,60%みられた。「脈拍≧100bpm」が同時期の肺がん患者に約67%,100%,消化器がん患者に約69%,約87%みられた。 肺がん患者1名と消化器がん患者2名に対し,最期の3日以内に鎮静剤が使用された。これらの患者には,「声かけに反応しない」および「昏睡」がみられた。次に,鎮静剤を使用していない患者の意識レベルをみると,肺がん患者8名では「声かけに反応しない」および「昏睡」が,最期の7日前後には約38%,0%であったが,最期の3日以内にはそれぞれ約63%, 50%みられた。一方,消化器がん患者14名では,「声かけに反応しない」および「昏睡」が,最期の7日前後にはいずれも約11%であったが,最期の3日間には約22%,10%みられた。 以上のことから,声かけに反応しない,昏睡,SpO2,血圧,脈拍の出現頻度は,臨床経過や鎮静剤の使用を加味することによって,肺がん患者と消化器がん患者のライフタイム予測項目として有用であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
最期を自宅で過ごす調査対象者が少ないだけでなく,対象者からの同意が得られにくいため,データの収集が困難な状態である。
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Strategy for Future Research Activity |
対象者数を増やすために,データ収集を継続して行う。また,現在予測項目として着目されているショック指数の観点から検討を加える。さらに,病院での調査も実施する。
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Causes of Carryover |
在宅で亡くなる調査対象者が得られにくい。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
訪問看護ステーションを利用して亡くなった患者のデータ収集を継続して行うとともに,病院で死亡した患者の調査を進めていく予定である。そのため協力施設の拡大に伴って増加する交通費に平成28年度の余剰研究費を使用する予定である。
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Research Products
(1 results)