2015 Fiscal Year Research-status Report
精神科看護における曖昧さの概念構築と曖昧さと向き合う方略に関する研究
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25862249
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Research Institution | Toyohashi Sozo University |
Principal Investigator |
五十嵐 慎治 豊橋創造大学, 保健医療学部, 講師 (70610393)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 精神科看護職 / 曖昧さへの態度 / 情動知能 / バーンアウト / 抑うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
精神科看護職の曖昧さへの肯定的態度と、情動知能、メンタルヘルスの関連を明らかにすることを目的に、無記名自記式の質問紙調査法を実施した。534名の精神科看護職を対象とし、回収数は350部(回収率65.5%)であった。対象者の平均年齢は47.8歳で、男性69名(19.8%)、女性280名(80.2%)、精神科臨床の平均経験年数は15.3年であった。 J-WLEIS(情動知能尺度)点数を制御変数に偏相関分析を行ったところ、「曖昧さへの肯定的態度」は「職務効力感」と、「曖昧さへの否定的態度」は「CES-D(抑うつ尺度)」と「疲弊感」に弱い正の相関を認めた。①曖昧さへの肯定的態度、②情動知能、③職務効力感をそれぞれ従属変数とした重回帰分析では、①R2=.241、情動の調節(β=.231、p<.01)、職務効力感(β=.210、p<.01)、②R2=.349、職務効力感(β= .380、p<.001)、曖昧さの享受(β= .244、p<.001)、③R2=.346、情動の利用(β= .380、p<.001)、他者の情動評価(β= .171、p<.05)、曖昧さの享受(β= .141、p<.05)であった。つまり、「情動の調節」と「職務効力感」が「曖昧さへの肯定的態度」に影響を及ぼしており、「情動知能」と「職務効力感」には、「曖昧さの享受」が共通して影響していることが明らかになった。「曖昧さへの享受」を高めることが、情動知能向上やメンタルヘルス対策につながると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
概念整理に時間を要してしまったこと、研究指導者との連携困難が生じたことで初年度より遅延していたが、さらに子の養育や他の研究が重なったため、遅延した分を取り戻すに至らなかった。しかし、アンケート調査を終了し、得られた成果からテーマである「精神科における曖昧さと向き合う方略」に関する示唆は得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終目的である適正に曖昧さと向き合うための具体的方略の確立に向けて、協力してもらう精神科臨床の看護師と連絡調整を図っていく。アンケート調査を終了し、得られた研究成果をプレゼンし、ディスカッションを通して具体的方略を検討していく。
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Causes of Carryover |
初年度より遅延していたが、加えて子の養育や他の研究が重なったため、遅延した分を取り戻すに至らなかった。そのため、1年の延長申請を行った。予定していた研究成果発表に関する旅費や、研究論文作成における英文校正費などが使われなかったため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費として、研究成果のプレゼン及びディスカッションで用いるモバイルプロジェクターの購入を予定している。また、研究成果の公表にあたり、本年度後半には結果をまとめ学会発表を行う予定であり、そのための研究旅費や、研究論文作成における英文校正費を主な支出として予定している。
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