2015 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中患者における脳卒中発症時の対処行動が発症6ヶ月後の機能予後に与える影響
Project/Area Number |
25862256
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
森野 亜弓 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (10633729)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 早期受診 / 機能予後 / 追跡調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
【目的】脳卒中患者の発症6ヶ月後の機能予後に対する発症‐来院時間の影響を発症時の重症度を考慮して明らかにすることを目的とした。 【方法】滋賀県下の脳卒中診療基幹病院4施設に入院した脳卒中患者を対象に、診療録の閲覧による入退院時のmodified Rankin Scale(mRS)の評価、発症6ヶ月後の郵送自記式調査によるmRSに関する追跡調査を実施した。 mRSが0~1点の者、もしくは発症前のmRSから低下を認めない者を「機能維持良好」と定義し、主要評価指標とした。発症‐来院時間が3時間未満の早期来院による機能維持良好オッズ比(95%信頼区間)を多重ロジスティック回帰分析により算出した。 【結果・考察】脳梗塞患者123名における機能維持良好者は退院時では全体の46%(早期群59%、遅延群39%;p=0.034)、発症6ヶ月後では全体の54%(早期群52%、遅延群56%;p=0.692)であった。入院時の重症度等を調整した早期来院による機能維持良好オッズ比(95%信頼区間)は、退院時で6.35(2.20-18.29)、発症6ヶ月後で1.32(0.53-3.30)であった。 本研究の結果、発症6ヶ月後の機能予後に対する発症‐来院時間の影響は統計学的に有意な関連は検出されなかった。しかしながら、特に中~重症例群においては退院時と同様に正の関連の方向性あることが推察された。発症6ヶ月後では退院時と比して遅延群の機能維持良好割合が増加しており、リハビリテーションの継続による効果によって遅延群においても機能が改善したことが推察される。したがって、退院時と比較するとその影響は弱まるものの、早期来院の効果が持続されることが期待された。 今後、高齢化に伴い脳卒中の患者数は増加の一途をたどると見込まれることから、一般市民に対して脳卒中の症状と対処に関する啓発活動を一層推進していく必要がある。さらに、脳卒中は再発率の高い疾患であることから、医療従事者による患者教育が重要であると考えられた。
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