2015 Fiscal Year Research-status Report
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25862267
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
明野 聖子 北海道医療大学, 看護福祉学部, 助教 (20433451)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳幼児 / 育児 / 母親 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、乳幼児期の親の支援のあり方を検討するために、親としてのどのような発達が育児をする喜びにつながるのかを明らかにすることを目的とする。 平成27年度は、以下の内容を実施した。 本研究のプレリミナルな調査として、第1子の3歳児を育てる母親を対象に、子どもが4か月・10か月・1歳6か月・3歳の時期に焦点をあてて、母親からみた親になることによる発達の内容についてインタビュー調査を実施した。4か月では「守る者ができ親としての責任感が湧いた」ことや「子育てに対する互いの主張を表すようになった」ととらえていた。10か月では、子どもがいる生活に慣れ「気持ちにゆとりができた」ことや「他の母親との交流により視野が広がった」「子育てについて夫婦で話したり一緒にすることが増えた」ととらえていた。1歳6か月では、「子どもの意思がわかるようになった」ことや子どもの遊びや行動範囲が広がり、「育児の楽しさを感じるようになった」。また、買い物や友人との付き合いなど「自分の時間を持てるようになった」と感じていた。3歳では、「子どもの特徴を個性ととらえられるようになった」「夫婦で互いに認め合えるようになった」「近所の人と仲良くしようと意識するようになった」と感じていた。調査結果から、子どもの発達に伴い、母親自身が成長ととらえる内容が変化していることが示唆された。4か月・10か月・1歳6か月・3歳時は子どもの成長・発達に重要な節目となる時期であり、それぞれの時期や時期に伴う変化から母親の親としての発達の内容を検討していくことは意義のあると考える。育児不安や虐待予防といったポピュレーションアプローチとして、時期にあわせた母親への育児支援に活用していくことが期待できる。 インタビュー調査の結果をもとに、平成28年度に実施する乳幼児健診を受診した母親を対象とした自記式アンケート調査の調査用紙を作成し検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、乳幼児期の親の支援のあり方を検討するために、親としてのどのような発達が育児をする喜びにつながるのかを明らかにすることを目的とする。 平成27年度は、本研究のプレリミナルな調査として、子どもが4か月・10か月・1歳6か月・3歳の時期に焦点をあてて、3歳児の母親からみた親になることによる発達の内容についてインタビューを実施した。その結果、子どもの発達に伴い、母親自身が成長ととらえる内容も変化していることが示唆された。 インタビュー調査の結果から、母親からみた親になることによる発達の内容として「親としての役割」や「子どもへの認識」、「親役割以外の社会との関係性を含めた自分」といった先行研究(大橋ら2010)と同様の知見が得られたが、これらに加え、親役割を果たすために「夫婦間で子育てに対する意思疎通」を行っていることや「親としての互いの存在を夫婦で認め合うようになった」ことが考えられた。また、社会との関係における成長として、「子育てを通した他の母親との交流」や「仕事を通じた充実感」「近隣への意識や交流」といった変化を成長ととらえていることが考えらえた。 これらのインタビュー調査の結果をもとに、本研究で使用するアンケート用紙の調査内容を検討し、4か月・10か月・1歳6か月・3歳といった各時期の母親がとらえる成長発達の特徴を踏まえた調査を実施することができると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、乳幼児期の親の支援のあり方を検討するために、親としてのどのような発達が育児をする喜びにつながるのかを明らかにすることを目的とする。 平成28年度は、北海道内の自治体で実施される乳幼児健診を受診した母親を対象とした自記式アンケート調査を実施する。
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Causes of Carryover |
平成27年度は、本研究「乳幼児期における親の発達と育児をする喜びとの関連」のプレリミナルな調査として、第1子の3歳児を育てる母親を対象に、親になることによる発達の内容についてインタビューを実施した。インタビューは母親10人程度を予定しており、その必要経費として、インタビュー実施時の旅費とインタビュー協力者への謝金、インタビュー後のテープ起こし・データ整理のための人件費が大部分を占めている。 平成27年度は育児休業の取得により研究を中断した期間が生じたため、予定していたインタビューの協力者数の確保が難しいこと、自記式アンケート用紙による調査時期を変更したことにより次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本研究の目的は、乳幼児期の親の支援のあり方を検討するために、親としてのどのような発達が育児をする喜びにつながるのかを明らかにすることである。 平成28年度は、以下の内容を計画している。1.北海道内の自治体で実施される乳幼児健診を受診した母親1500人を対象とした、アンケート調査協力への承諾を得る。2.アンケート用紙・返信用封筒の印刷、返送のための切手を準備する。3.乳幼児健診会場でアンケート用紙を配布する調査補助員5人程度に対して説明会を実施する。4.4か月児、10か月児、1歳6か月児、3歳児の乳幼児健診を受診した母親を対象に、自記式アンケート調査を実施する。
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