2013 Fiscal Year Research-status Report
季節的海氷域の変動は高次捕食者にどのような影響を与えるか
Project/Area Number |
25870008
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三谷 曜子 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (40538279)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | モニタリング / 海氷 / 高次捕食者 |
Research Abstract |
本研究では,海氷変動が高次捕食者である海棲哺乳類の日本沿岸への来遊にどのような影響を与えるかを明らかにすることを目的としている.初年度の2013年度には,北海道東部海域で流氷期である4月,および開氷期である9月に船からの目視調査を行ったほか,紋別オホーツクとっかりセンターで保護されたゴマフアザラシ幼獣個体(n=4)に衛星発信器を装着し,紋別沖で放獣することにより,その後の回遊追跡を行った.また,知床半島羅臼側に設置型音響記録計を設置することにより,海棲哺乳類の鳴音モニタリングを行うと同時に,陸からの定点目視調査も行った.その結果,ゴマフアザラシの幼獣保護個体(n=3)を6月に放獣したところ,混獲などによりすべての個体において1週間以内に発信が途絶え,長期間追跡することができなかった.しかし,12月に1個体を放獣した結果,根室半島まで南下し,海氷来遊期にも同海域に滞在した.この結果は2011-12年に得られた1個体の結果と同様であり,海氷との関係について今後解析する予定である.次に,鳴音モニタリングから,流氷上で出産する好氷性種のクラカケアザラシが流氷期に鳴いていることが明らかとなった.その後,シャチやマッコウクジラ,カマイルカの鳴音が確認されており,それぞれの鳴音頻度には季節的な変動が見られた.今後は海氷密接度や海氷面水温などとの関係に着目し,データ分析を行うことにより,海氷の来遊から後退まで,長期かつ連続的に海棲哺乳類の来遊と分布に関する情報を得る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
6月に放獣したゴマフアザラシ3個体の追跡が1週間で途絶えてしまったため.それ以外では学会で発表したり,論文投稿準備をするなど順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
2014年度も船からの目視調査を行う.また混獲個体などの収集を行い,衛星発信器による回遊追跡を行う.また,目視,鳴音,回遊追跡により得られた情報を海洋環境情報とあわせて解析する.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
衛星発信器の価格が急激な円安により高騰し,その分台数を減らしたり,旅費を打ち切りにして削るなどした結果,端数が余った. 来年度に使用する衛星発信器の購入に用いる.
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