2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓癌を発症させるB型肝炎ウイルス核酸による自然免疫応答制御の分子機構
Project/Area Number |
25870015
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐藤 精一 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (60459724)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | B型肝炎ウイルス / 自然免疫応答 / 核酸 / RIG-I / インターフェロン / 抗ウイルス因子 / 肝臓癌 / ウイルス複製 |
Outline of Annual Research Achievements |
宿主における免疫応答の中でウイルスの認識はウイルス排除を行うために重要な過程である。DNAウイルスであるB型肝炎ウイルス(HBV)は肝臓に感染し、慢性的な感染により肝炎ならびに肝硬変および肝臓癌をひき起こす危険性がある。しかしながら、HBV感染に対する認識機構や、その下流のシグナル伝達経路については、不明な点が多い。本研究ではHBVの自然免疫認識機構を探るために、ヒト肝細胞のキメラマウス、初代ヒト肝細胞や肝がん細胞株の感染の系を利用して解析を進めた結果、HBVはRIG-Iを介してIII型インターフェロン(IFN)誘導を軽度に引き起こすことが示された。また、HBV感染後に産生されるIII型IFNは実際のHBVや水疱性口内炎ウイルス(VSV)に対しての抗ウイルス活性を発揮する結果を得ており、B型肝炎ウイルスに感染したヒトの肝細胞において,RIG-IがB型肝炎ウイルスのプレゲノムRNAにあるε構造を認識することにより、III型インターフェロンの発現を優先的に誘導することを見い出した。 さらに、RIG-Iはインターフェロン非依存的に、B型肝炎ウイルスのポリメラーゼとプレゲノムRNAとの結合を阻害するという、直接的な抗ウイルスタンパク質としての機能をもつことも見い出した。これらの結果にもとづき、ヒトの肝臓を移植したキメラマウスを用いたin vivoのB型肝炎ウイルス感染モデルにおいて、ε構造をもつRNAを肝臓に選択的に輸送させたところ、B型肝炎ウイルスの複製の抑制が認められ、ε構造をもつRNAの治療への応用の可能性が示唆された。本研究により、RIG-IはB型肝炎ウイルスに対し、センサータンパク質としてのみならず、直接的な抗ウイルスタンパク質としても働くという2つの機能により、感染防御に機能していることが明らかにされた。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] The RNA sensor RIG-I dually functions as an innate sensor and direct antiviral factor for hepatitis B virus.2015
Author(s)
Seiichi Sato, Kai Li, Takeshi Kameyama, Takaya Hayashi, Yuji Ishida, Shuko Murakami, Tsunamasa Watanabe, Sayuki Iijima, Yu Sakurai, Koichi Watashi, Susumu Tsutsumi, Yusuke Sato, Hidetaka Akita, Takaji Wakita, Charles M. Rice, Hideyoshi Harashima, Michinori Kohara, Yasuhito Tanaka, Akinori Takaoka
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Journal Title
Immunity
Volume: 42
Pages: 123-132
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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