2013 Fiscal Year Research-status Report
草創期国際政治学の文化論―L・ウルフとH・ニコルソンの比較から
Project/Area Number |
25870022
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
西村 邦行 北海道教育大学, 教育学部, 講師 (70612274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | レナード・ウルフ / 理想主義 / 戦間期 / 国際関係論 |
Research Abstract |
L・S・ウルフとH・ニコルソンの比較を試みる計画のうち、まずは以前から研究を進めつつあったウルフについて検討を行った。申請時の計画書に記載の通り、特に『大洪水の後で』(1939年)に至る彼の政治学上の諸著作と、同時期の各種文芸評論との関係を中心的な対象として読解を進めた。ただし、計画時には1920年代・1930年代に焦点を絞る予定であったのに対し、研究の進展に伴い他の時期との連続性が重要であることが理解されたため、入手しえた限りでのウルフの公刊著作全件(1900年代の詩文など入手が著しく困難なものを除くほぼ全て)に検討対象を広げた。 他方、収集予定であった未収集分のウルフ未公刊史料については、申請時に認知していなかった公刊資料(主に妻ヴァージニアの日記・書簡集、全6巻)によって大半が内容を確認でき、また、二次研究の調査の結果から、それ以外の残りの史料は検索の手間に見合うものではない(出版社との事務的連絡など些末な書簡であることなど)と判断できたため、調査を取りやめた。代わりに、次年度に予定していたニコルソン文書調査のうち、分量としても比較的少なく、内容的にも最低限の事前知識で対応しうると判断された米国プリンストン大学図書館での史料調査を次年度から前倒しで実施した。 以上の結果を踏まえて、直接的な成果としては、ウルフに関する論文一篇を脱稿し、所属大学の紀要に投稿した(2014年8月公刊予定)。また、依頼を受けて執筆を進めていた関連テーマの論文にも、その成果の一部を反映させ、やはり論文一篇を脱稿した(2014年10月公刊予定)。より間接的な形ではあるが、他二篇の論文にも知見の一部を反映させた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実績の概要で記した通り、予定していた史料調査1件が不要となったため、次年度分の史料調査を前倒しで実施できた。その上で、文献上の検討については、計画書の申請以上に対象を拡大して実施ができ、成果も予定通り論文の形でまとめあげるに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り、ニコルソンについての検討を進める。ただし、今年度に一部前倒しで研究を開始したところ、短期間のうちに論文の形で成果をまとめあげることへの困難を感じるところがあった。今後の進展によっては、より長期的な視野から、関連する他の史料をより広くあたった上で論文の執筆に向かうことも考えたい。その関係では、最終年度に当初予定していなかった史料(H・バターフィールド文書、オックスフォード大学)の調査を行うことも検討したい。
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Research Products
(2 results)