2014 Fiscal Year Research-status Report
草創期国際政治学の文化論―L・ウルフとH・ニコルソンの比較から
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25870022
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
西村 邦行 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (70612274)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ニコルソン / 現実主義 / イギリス |
Outline of Annual Research Achievements |
20世紀前半のイギリス国際政治学における文化論的な視座の射程を明らかにする上で、レナード・ウルフとハロルド・ニコルソンの二人を取り上げて比較検討する本研究の内、今年度は、当初の計画書に予定していた通り、ニコルソンについての研究に着手した。具体的には、ニコルソンの著書・論稿の大半について収集を終えた。また、未収集であった未公刊史料の一部を収集した(本研究申請当初はイギリスのシシングハースト庭園に保管されているはずであったが、売却され、昨年、イェール大学によって購入されたことから、収集地は当初の計画書と異なっている)。とりわけ未公刊史料からは、ニコルソンの文学や芸術に対する視座が直接に語られている書簡や講義録が発見された。本年度の研究成果は主として基礎研究のそれにあたるもので、現時点において、これらの史資料から論文等の具体的な成果を直接に産み出すには至っていない。ただし、例えばニコルソンが各国を旅行する中で披露している様々な文化への好悪の感情は、外交論などで折に触れて持ちだされてくる文明観との間に一定の並行関係ないし整合性があることが見てとれる。2015年度の国内学会において関連する口頭報告を行なう上では、そこから得られる知見を活かす予定でいる。また、その結果はできるだけ早い時点で論文としてまとめ、公刊することとしたい。なお、本年度の直接の成果ではないが、関連して公刊した論文2編および新聞・政党機関紙への寄稿文において、本年度に得られた知見を若干ながら活かすことができた。また、昨年度の直接の成果を国内学術誌に公刊した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画書に記していた主たる作業(史資料の収集および主たる文献の検討)は予定通りに進展している。昨年度にはやや懸念されていた成果の公表についても、「研究実績の概要」に記載の通り、口頭発表および論文公刊の形で研究の知見を反映させる目途がついた。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に、計画書に記載の通り、ニコルソンについての検討を継続しつつ、徐々に彼とウルフとの比較へと重点を移していく。なお、オックスフォード大学において調査予定であった未公刊の日記については、特に本研究と関連する部分については同大学から電子ファイルにて取得できた。著作権上、現地調査を要する箇所について本年度史料調査を行なうかは、研究の進展と本務校の業務との兼ね合いから検討する予定でいる。
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Causes of Carryover |
本務校での業務などとの兼ね合いから、史料調査を年度末(学内での物品購入依頼の期日より後)に行わざるをえず、とりわけ冬季期間中につき不測の事態(航空機キャンセルによる滞在期間の延長や関連して新たな費用負担が発生すること、実際に発生)への備えも考えた場合、一定の余裕を持たせた予算計画が望ましかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
必要な書籍の購入を後ろ倒しにしたものであり、基本的には、本来、昨年度に購入予定であった書籍の費用にあてる予定でいる。
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Research Products
(4 results)