2013 Fiscal Year Research-status Report
地域活動を通した子どもの主体形成と大人の支援について考える
Project/Area Number |
25870032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
深作 拓郎 弘前大学, 生涯学習教育研究センター, 講師 (40389804)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 子どもの参画 / 地域参加 / 子どもの主体形成 / 放課後 / 子どもの社会教育 / 児童館 |
Research Abstract |
本研究は3か年計画の1年目であり、研究計画に従い3つの取り組みを同時並行的に行った。 1つ目は先行研究の整理である。子どもの地域参加に関する研究は、1970年代から80年代にかけて社会教育学を中心に展開され、増山均『子ども研究と社会教育』で一定の総括を迎えたが、子どもの権利条約が制定されて以降、子どもの主体的参加・参画、権利保障の観点から検討がなされるようになり、その内容は、教育の範疇を超え、福祉・文化・まちづくりへと広がっており、現在それぞれの論点を整理しているところである。 2つ目は、過去2年間の地元新聞2紙から10代の子どもたちが掲載されている記事を拾い出し、カテゴリー別の分類をすることで、社会の関心度を把握する作業である。作業の結果、学校を中心とした活動が多く取り上げられており、とりわけ実業系の高等学校における地元の産品を使った商品開発を取り上げるものが多く、次いで生徒会活動や部活動での入賞等の記事であった。学校外での地域活動の記事は数が乏しく、その内容も入賞を讃えるものがほとんどであった。地域参加活動の必要性は唱えられつつも、メディアでは取り上げられにくいことが明らかになった。 3つ目の柱は、2か所でのフィールドワークである。弘前大学の学生で構成されている「らぶちる-LOVE for Children」の活動、青森県十和田市のNPOと県立高校のコラボレーションによる「高校生カフェ」の取り組み、岩手県久慈市中央公民館「ヤングボランティアSEED」の3つである。それぞれ参与観察を中心に行っているが、「らぶちる-LOVE for Children」では、アクションリサーチを試みるとともに、地域活動での学びと子どもに関わるために必要な資質、将来との相関について関連、支援者に求められる資質についてヒアリングを行うことができ、その内容を現在分析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調である。 とりわけ、フィールドワークは、当初予定していたうちの1ヵ所が先方の事情により参与観察をすることができなかったが、新たなフィールドを開拓することができ、少しずつ関係を構築しているところである。昨年度実施できなかったフィールドとは、適宜情報交換を行っており、先方の状況が落ち着き次第、参与観察に入る予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
文献の整理を継続していくと同時に、参与観察・ヒアリングをメインとした調査を行う。25年度に行った3ヵ所に加え、中高校生を中心としたリーダー会による「居場所」空間を運営している岩手県奥州市の「ホワイトキャンバス」での参与観察も実施していきたい。ここでは、「居場所」空間を利用者である青少年が自分たちの手で運営することで主体形成を促してきた。10年を超える青少年たちによる運営を通じて、子どもたちはどのように主体形成を行い、またどのように世代交代をしてきたのか、それを支援してきた行政や支援者も含めた過程を検証していきたい。 「らぶちる-LOVE for Children」の活動では彼らが持つ目標や将来へのビジョンをどのように重ね合わせながら活動しているのかを捉えていきたい。十和田市の地元NPOと高等学校の連携による「高校生カフェ」の事例では、コラボレーションによるカフェという活動と空間づくりを通じて高校生が何を学ぶか、また活動支援のために学校の教職員とNPOといった大人側の連携づくりと意識の変容についても特に注目する。久慈市の「ヤングボランティア」の実践では、中高校生たちが公民館という公共施設(施設と職員)をどう意識しながら自分たちの主体的な活動を展開していっているのかと捉えていくのと同時に、公民館職員が中高校生への支援をどのように意識化・共有化しながら進めて行っているのか、それぞれのフィールドの特徴を踏まえながら調査していくつもりである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた岩手県奥州市でのフィールドワークが、先方の都合により実施できなかったことと、旅費の発生しない弘前市でのフィールドワークが増えたことが挙げられる。 加えて、書籍や消耗品等の物品購入について無駄が生じないように工夫した結果でもある。 26年度は遠隔地でのフィールドワーク(岩手県久慈市、奥州市)が予定されていることから、フィールドワークの旅費に充当する予定である。
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Research Products
(1 results)