2013 Fiscal Year Research-status Report
日本海東縁ひずみ集中帯で発生した歴史地震・津波の災害社会史的研究
Project/Area Number |
25870033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
白石 睦弥 弘前大学, 学内共同利用施設等, 研究員 (50619814)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 歴史地震・津波 / 日本海東縁ひずみ集中帯 / データベース / 近世北奥 / 復興 / 弘前大学震災研究交流会 |
Research Abstract |
本研究は「日本海東縁ひずみ集中帯」において、主に近世期に発生した地震・津波に関する記録を収集分析し、現在の防災に資する情報を公開するものである。 従来、東北地方の災害史研究は、飢饉と三陸津波を対象としたものが中心であり、日本海側の歴史地震は注目されてこなかった。また、2011年の東日本大震災発生はこの傾向に拍車をかけた。しかし、この地域では過去にM7クラスの地震が度々発生しており、近年では1993年にも北海道南西沖地震が発生するなど、今後も地震・津波の発生が懸念される地域である。同地域で発生した歴史災害を検討することで、その実像に迫り、被災地となった東北地方日本海沿岸各藩の動向と復興について解明することとする。 平成25年度は「東京大学地震研究所図書室特別資料データベース」で公開される「地震史料」や、「ひずみ集中帯の重点的調査観測・研究」プロジェクト報告書などを活用し、東北地方日本海沿岸の主な歴史地震についてデータベースから明らかにできる情報を明確にした。 ただし、このデータベースで公開されるのは画像データのみで、テキスト(文字)データは含まれない。また、同史料集では地震・津波発生時の記録を部分的に収録するにとどまっており、災害発生時だけでなく、その後の地域の変化や復興の過程を分析するためには、これらの歴史資料を全面的に再検討していくこととなる。 そのため、弘前市立弘前図書館をはじめとした史料調査では、被害記録だけでなく、復興にかかわる史料も全面的に収集・分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は、データベースを活用して基礎的な情報を把握するとともに、青森県日本海側(弘前藩領)・秋田県沿岸(秋田藩領)での史料調査を行い、被災・復興の記録を収集することとしており、また、西海岸地域での地点特定のため現地でのフィールドワークを行い、GPSなどの機器を使用し正確な地点を測位する予定であった。 代表者の入院療養などが原因で、全体的な計画にやや遅れが生じている。 史料調査は概ね弘前藩領については調査が完了しているが、秋田藩領については次年度以降への課題となった。フィールドワークについては、暴風雨などの天候状況に鑑みて実施を次年度以降へ見送った。 並行して弘前大学震災研究交流会での情報提供と議論を行う予定は順調に進められた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、まず第一に「日本海東縁ひずみ集中帯」における史料調査を中心に、主に東北地方日本海沿岸地域で近世に発生した地震・津波に関する記録を収集する。フィールドワークも行い、被災記録のある地名・地点を測位確認し、推定震度分布をより正確に把握する。 第二に絵図史料を積極的に活用することで、トレース図や3Dグラフィックで当時の地形を再現し、加えて、史料調査・フィールドワークの調査結果を反映することで地震・津波の被害実態を詳細に把握する。 第三に地震研究のためのデータベースには収録されないような、復興に関わる史料記録を読み解くことで、被災地が非常時の被災地社会を形成する状況、生活再建と復興の過程などを解明していくこととする。 また、研究成果について弘前大学震災研究交流会において報告発表することを課題としていたが、同会は弘前大学防災社会研究会と名称を変更し、外部の識者を招いての研究会へ移行することとなったため、平成26年度には代表者が報告をすることは計画されていない。そのため、学会発表などを積極的に行うように対応したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究代表者が期間中に入院療養し、学会参加および遠方での調査ができなかったため、旅費を使用できなかった。 また、人件費についても代表者不在のまま調査を行うことができなかったため使用できなかった。 次年度使用額については、主に県外での史料調査を行うために使用したいと考えている。 また、本年度は学会にも積極的に参加発表するので、その旅費として使用する。
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